Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 俊樹 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (80302074)
岡本 創 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (10333783)
児玉 安正 弘前大学, 理工学部, 助教授 (30205421)
内山 明博 気象庁, 気象研究所, 研究室長 (50354460)
山崎 明宏 気象庁, 気象研究所, 主任研究官 (40278106)
|
Research Abstract |
本研究計画は,地上・船舶・航空機による総合観測,衛星データ解析,および雲解像モデルによる数値実験を組み合せた総合的研究により,ヤマセ雲の形成・変質の機構を解明する.それをもとに低分解能モデルのための雲パラメタリゼーションを開発して,ヤマセ雲の数値予報の改善に寄与することを目的とする.研究活動は,総合観測,気象・衛星データ解析,数値モデル化に大別することができ,互いに密接に連携して推進される. 平成18年度は,2006年6月下旬から7月上旬にかけて三陸沖にて大気境界層および下層雲の総合観測を行った.特に,ヤマセ模様の天候となり下層雲が出現した6/25〜6/26および7/8〜7/9の間は,3時間毎のGPSゾンデの船舶観測により,詳細な時間-高度変化の様相を捉えた.6/26および7/9には船舶観測域にて航空機観測を実施し,大気鉛直構造,雲物理量,エアロゾルの高度・水平分布を測定した.その結果,このときの下層雲は,平均有効半径が9μmと比較的小さい雲粒からなる薄い水雲であることが判明した.また,この期間に千葉大・鷹野助教授の協力を得てFM-CW雲レーダーによる雲観測を実施した.6/27には仙台市上空にて航空機観測を行い,雲レーダー検証のデータを得た.解析研究では,上記のヤマセ模様の2事例について,衛星データ等を利用した熱収支解析および流跡線解析を行い,それぞれの気象場と下層雲形成の特徴を明らかにした.数値モデル化に関する研究では,前年度に開発した乱流パラメタリゼーションを低解像度モデルへ導入し,ヤマセ雲の再現性を調べた.LES結果を基にした詳細な乱流パラメタリゼーションによる熱の鉛直輸送の効果により,従来のモデルでは過剰となっていた雲水量の生成を抑制できることがわかった.また,東北大学で開発した局地気象予報システムを用いて観測時の予報実験を行い,予報モデルの問題点を洗い出した.さらに,3次元不均質な雲におけるMC放射伝達計算の高速化を図かり,力学モデルへの適用を試みた.
|