2007 Fiscal Year Annual Research Report
崩壊履歴と地質・地形に基づく崩壊危険度評価の地質学的論理立て
Project/Area Number |
17204044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千木良 雅弘 Kyoto University, 防災研究所, 教授 (00293960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 賢一 徳島大学, 総合科学部, 准教授 (60363131)
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Keywords | 崩壊 / 降雨 / 風化 / レーザースキャナ |
Research Abstract |
花崗岩類について: 崩壊を多発してきたマイクロシーティングの発達する花崗岩の岩石学的特徴が、丸みを帯びた大きな石英粒子にあることを明らかにし、その成因について考察した。また、風化花崗岩地域で発生する崩壊を、岩石の岩石学的特徴、風化形態、岩石強度によって統一的に説明した。1953年の京都府南山城災害の発生場所においてレーザースキャナ計測を行い、崩壊地形が明瞭に識別できること、また、それらが以前の崩壊とともに、削剥前線を形成していることを明らかにした。これらの結果、花崗岩類の成因と風化とを結びつけた斜面危険度評価が可能となり、災害履歴の解明の見通しが得られた。 堆積岩類について: 泥質物質で構成される山地に発生する崩壊の形態、および、それによる地形変化について解析し、斜面に物質に応じた限界傾斜があることを明らかにした。2004年の台風で崩壊が多発した和泉層群の砂岩・泥岩地域で、微地形の解析と地質構造と風化帯構造との調査を行い、2004年の崩壊と、それ以前の崩壊が特定の箇所に集中して発生していたこと、また、それらが一種の削剥フロントを形成していた事を明らかにした。これらに基づいて、崩壊に対して最も危険度の高い位置を示すことが可能となった。新しい堆積物の崩壊が多発した千葉県小見川地区において、地質構造の詳細調査を行い、これらが外浜堆積物に特有の崩壊形態であることを明らかにし、崩壊発生危険度を堆積学的に評価できることを示した。 埋没谷の崩壊について: 2006年岡谷豪雨災害の発生した地域においてレーザースキャナ計測を行い、それらの発生場所が、強風化安山岩を風化火山灰が埋没した箇所、すなわち埋没谷で発生したことを明らかにした。この結果に基づいて、今後の崩壊発生危険箇所としては未だに埋没谷として残存している箇所であることを示すことができた。
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