2006 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体をプローブとした新しい比較惑星科学の構築
Project/Area Number |
17204051
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日高 洋 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (10208770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 淳一 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (50291480)
米田 成一 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, 主任研究官 (60210788)
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Keywords | ネオジム / サマリウム / ガドリニウム / バリウム / 同位体 / 質量分析 / 隕石 |
Research Abstract |
本年度は作年度に引き続き以下の1,2のテーマを行い,3の研究を新たに展開させた。 1.地球外惑星物質表面で生じる宇宙線照射の履歴を定量的に評価するために,隕石試料のSmおよびGd同位体比測定を行い,^<149>Smおよび^<157>Gdの中性子捕獲反応に基づく^<150>Sm/^<149>Sm,^<158>Gd/^<157>Gd同位体変動を0.005%以下の精度で検出することを可能とした。これをもとに(1)他に比べてガスを多量に含む隕石であるSaU290(CH3),NWA801(CR2),(2)レゴリスブレッチアの特徴を示すCook011(L3-5),Zag(H3-5),(3)これまでの我々の研究から宇宙線照射による中性子捕獲反応の効果が大きいものが多いオーブライト隕石に属するLAP02233,Norton County,Cumberland FallsについてSm,Gd同位体測定を行った。上記について10^<14>〜10^<16>n/cm^2オーダーの被中性子フルエンスが見積もられた。 2.惑星の初期分化過程を年代学的に議論するために^<135>s-^<135>Ba壊変系を用いた新しい年代測定法に着手した。 炭素質コンドライト隕石Ba同位体変動の主な要因は先太陽系物質(プレソーラー粒子)の影響によるs-過程同位体の欠損・過剰によるものであることがわかったが,それ以外の同位体異常成分が見いだされた。特にNWA801(CR2),Karoonda(CK5)に顕著に見られる^<138>Ba同位体異常は中性子バーストの影響を受けたものと考えられる。 3.太陽系形成後の数億年間の惑星の初期進化に時間軸を刻むうえで重要な鍵をにぎる^<146>Sm-^<142>Nd壊変系を確立するためにNd同位体の精密測定法の開発を試みた。50-100ng量のNdについて^<142>Nd/^<144>Nd同位体比を0.0005-0.0007%の繰り返し精度で測定できることを確認した。
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Research Products
(9 results)