2007 Fiscal Year Annual Research Report
水素クラスターの赤外分光による水素分子超流動を探る
Project/Area Number |
17205003
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
唐 健 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (40379706)
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Keywords | 分子分光学 / 振動回転スペクトル / 赤外OPOレーザー / キャビティリングダウン / 連続波パルス化 / 水素クラスター |
Research Abstract |
当年度では連続発振レーザーを用いたキャビティリングダウン分光法(cw-CRDS)を実現した。Cw-CRDSは近年に開発された高感度の吸収分光法である。最近、中赤外領域におけるcw-CRDSは不安定分子にも応用が始められた。Cw-CRDSではパルス化された入射光がキャビティ内で数千回多重反射されることにより、実効光路長が数キロになり、弱い吸収線が検出できるようになる。また、感度(信号対雑音比)は光源の出力変動に依存しない特徴があり、我々が初年度で購入した連続発振OPOレーザーに最も適切な分光法だと考えられる。 製作したcw-CRDS装置では音響光学素子(AOM)を用いて連続発振OPOレーザーをパルス化し、二枚の高反射率ミラーでキャビティを形成し、そのキャビティのモードをピエゾ(圧電素子)の伸縮によって入射光の波長と共振させ、数マイクロ秒の指数減衰信号(リングダウン信号)をインジウムアンチモン(InSb)フォトダイオードと帯域1 MHzのプリアンプで検出し、サンプリングレート20Ms/秒のデジタイザで記録した。分光器感度の測定にはメタン分子の弱い吸収遷移を用いた。圧力5mTorrのメタンサンプルでは波数3124.9cm^<-1>における遷移のリングダウン時間がサンプルなしのリングダウン時間より0.23μsほど短く観測され、吸収係数が5×10^<-6>cm^<-1>と得られた。リングダウン時間2μsの測定誤差が5nsであることから吸収係数が最小1×10^<-7>cm^<-1>まで検出できることがわかった。さらにキャビティの改良により感度を向上し、大きな水素分子クラスターの検出を実現できると考えられる。
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Research Products
(4 results)