2006 Fiscal Year Annual Research Report
回転量子波束を利用した分子固定系での超高速電子ダイナミクスの観測
Project/Area Number |
17205004
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 俊法 独立行政法人理化学研究所, 鈴木化学反応研究室, 主任研究員 (10192618)
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Keywords | 光電子分光 / 画像観測 / 超高速分光 / NO / 光電子角度分布 / 回転波束 |
Research Abstract |
分子固定系において測定される光電子角度分布及びそれから抽出される動力学因子は、分子の光イオン化過程の究極的な情報であり、分子イオンと電子の相互作用を解明するために必須である。しかし、これらの測定や解析は極めて複雑であり、研究は十分なされていない。本研究ではこの問題を解決する新手法として、分子の回転波束を生成し、時間依存光電子角度分布を測定する方法論について検討した。実験ではNO分子を第一のフェムト秒レーザーによってX状態からA状態に励起し、時間遅延させた第二のフェムト秒レーザーによってイオン化し、光電子角度分布を画像観測した。イオン化波長を変化させることで光電子の余剰エネルギーを60meVから1.3eVまで変化させ、遅延時間を約200fsの間隔で変化させて測定した。その際、各光電子エネルギーにおける異方性因子β2とβ4を小数点第二位まで決定し光イオン化動力学因子を抽出する必要があることから、これを可能ならしめる検出器の感度均一性について注意深い検討を行った。その結果、直径70mmのマイクロチャンネルプレートの場合、チャンネルポアサイズが10ミクロン程度である必要があることが判明した。これは、電子がチャンネルに入る場合の角度によっては、チャンネル内での電子軌道が短くなり利得が極度に小さくなるためで、小さなチャンネル径であるほど性能は向上する。また、CCDカメラは1kHzのレーザーシステムに同期した1kHzのカメラである必要があることが明確になった。これらの改善を行って、以前にもまして信頼性ある測定が可能な所まで装置の性能向上を行った。
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Research Products
(1 results)