2006 Fiscal Year Annual Research Report
結晶化による分子構造制御と環境適応型有機合成反応の展開
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17205011
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 昌巳 千葉大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (00178576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 力 千葉大学, 工学部, 教授 (70009538)
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Keywords | 有機結晶 / 分子構造制御 / 環境調和型有機合成 / 立体選択的反応 / 不斉合成 / 固相反応 / エントロピー制御 / 光反応 |
Research Abstract |
有機結晶は構成する分子の立体構造が規制された特異な反応場を提供するため,不斉反応,立体規則的な反応などの合成化学的な立場から幅広く研究されている.本研究では,有機結晶の持つ特性を最大限に利用して,不斉反応や立体特異的反応などの環境調和型反応を展開した。 (成果1)複数のジアステレオマー混合物として存在する分子のエビ化優先晶出法により単一のジアステレオマーに完全分割し,エントロピー制御された環境での高選択的不斉反応を達成した。アミド基に不斉源としてプロリンを有するクマリンカルボン酸アミド、2-アルコキシ1-ナフトアミドと2-キノリノン-4-カルボン酸アミドを一度結晶化させてから低温で溶解し反応させることによりいずれの場合もほぼ100%deの不斉反応に成功した。 (成果2)アキラルなベンゾイルベンズアミドのキラル結晶化により得られた不斉結晶を低温で溶解させることで,結晶中に記録された不斉分子配座を長時間溶液中でも保持できることを見出した。この一時的な不斉配座とt-BuLIとの反応では安定な軸不斉化合物を新規絶対不斉合成により合成することに成功した。 (成果3)アキラルなナフトアミドの結晶化により生じた不斉分子配座を低温溶液中へと導き,種々のラセミ体のリチウムアミドと反応させることにより、アミンの速度論的分割と光学活性なナフトアミドの不斉合成を開発した。 (成果4)アキラルなクマリンカルポン酸アミドの不斉結晶化により発現した不斉を光増感反応へと展開して99%eeの光学純度で不斉反応を達成した。同様にして、硫黄イリドとの反応では不斉シクロプロパン化をカルベンとの反応ではジヒドロフラン環の不斉合成に成功した。 以上のように無秩序な有機分子が形成する有機結晶を利用した完全分割法の確率や基質特異的反応,新規絶対不斉合成に成功した。
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Research Products
(10 results)