2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17205012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 潤一 京都大学, 工学研究科, 教授 (30127170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 敏材 京都大学, 工学研究科, 助手 (60402963)
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Keywords | 有機カチオン / カチオンプール法 / 反応性 / 安定性 / フロー系反応装置 |
Research Abstract |
有機カチオン活性種の熱力学的安定性および反応性の解析 有機カチオン種を自在にコントロールして新規有機反応を開発するためには、活性化学種の化学的および物理的特性の本質を深く理解することが不可欠である。通常の有機反応では、カチオンは平衡によって発生させるため、カチオン濃度は非常に低く、ほとんどの場合NMRでは検出できない。しかし、カチオンプール法では、有機カチオンそのものを高い濃度で蓄え、NMR等で解析することができる。具体的には、次のような研究を遂行した。 有機カチオンの溶液を一定時間所定の温度にまで昇温し一定時間保った後、求核剤と反応させ、その収率から有機カチオンの安定性を見積もり、構造や置換基との関係を明らかにした。 また、フロー系装置を用いて求核剤との反応速度を見積った。すなわち、カチオンプールと炭素求核剤としての芳香族化合物とを高速混合器を用いて混合し、フロー型反応容器内で所定の滞留時間反応させ、さらに2番目の高速混合器により停止剤を導入することにより反応を停止し生成物を得た。生成物の収率と滞留時間の関係から、芳香族化合物に対する最初のアルキル化の速度は2番目のアルキル化に比べてかなり速いことが明らかとなった。同時に、分子軌道計算による解析を行い、反応の活性化エネルギーが1kcal/mol以下であり、非常に速い反応であることも明らかにした。 有機カチオン活性種の合成化学的応用 すでに、窒素原子に隣接する炭素上のカチオン種とみなすことのできるN-アシルイミニウムイオンの生成と反応については、種々検討を行ってきた。そこで、本法を、他の有機イオン種、とくにヘテロ原子をもたないカチオンなどに対して適用し、合成化学的観点から反応開発を行った。たとえば、ジアリールメタン誘導体を酸化すると、対応するジベンジルカルベニウムイオンが効率よく生成することを見出し、この化学種が合成的に利用できることを示した。
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Research Products
(4 results)