2007 Fiscal Year Annual Research Report
高周期15族元素化合物を用いる新ラジカル化学の創製
Project/Area Number |
17205013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山子 茂 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (30222368)
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Keywords | ラジカル反応 / リビングテジカル重合 / ヘテロ元素 / アンチモン / ビスマス |
Research Abstract |
有機テルル化合物と有機アンチモン化合物の炭素ラジカルに対する反応性を比較することを目的として、テトラメチルジスチビンを基質として用いてAIBNなどのアゾ化合物から生じるラジカルとの反応について検討した。その結果、ジスチビンが極めて高い反応性を示し、ラジカルをほぼ定量的に補足して対応する有機アンチモン化合物を与えることを明らかにした。この結果は、同様の反応を16族ヘテロ元素化合物であるジテルリドに対して行った時に、収率が極めて低い点と対照的であり、15族ヘテロ元素化合物の特徴であると考えられる。さらに、このジスチビンの高い反応性と、反応が中性条件下で行えるというラジカル反応の特徴を生かすことで、この反応が極性官能基を持つ有機アンチモン連鎖移動剤の合成法として利用できることを明らかにした。さらに、重合後に有機アンチモンリビング末端を選択的に化学変換することで、分子構造が高度に制御されたテレケリックポリマーを高選択的に合成できることを明らかにした。 さらに、高周期ヘテロ元素化合物反応性の違いについて検討している過程において、チオール類が15族および16族ヘテロ元素化合物の選択的なラジカル還元試薬として働くことを明らかにした。なかでも、15族ヘテロ元素であるビスマス、アンチモン化合物の反応性は16族ヘテロ元素であるテルル化合物よりも高く、両者の共存下において15族元素化合物を選択的に還元できることを明らかにした。さらに、17族ヘテロ元素化合物である有機ヨウ素化合物は反応しないことから、チオールが元素選択的な還元剤として利用できることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)