2007 Fiscal Year Annual Research Report
アミノグリコシド系抗生物質による紫外線損傷DNAの認識
Project/Area Number |
17205016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩井 成憲 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授 (10168544)
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Keywords | DNA / 紫外線 / DNA損傷 / 薬物-DNA相互作用 / 分子認識 / 表面プラズモン共鳴 |
Research Abstract |
平成18年度の研究において、(6-4)光産物を有するDNAを用いたときに表面プラズモン共鳴(SPR)で結合を示すセンサーグラムが得られなかったが、その原因を調べるためにこのDNAに結合する(6-4)フォトリアーゼという酵素の結合を分析したところ、特異的な結合を示すセンサーグラムが得られた。また、(6-4)光産物をDewar異性体に変換したところ、結合が弱くなるという他の実験系で得られた結果をSPRで再現させることができた。したがって、SPRによる測定そのものには問題がないことがわかり、アミノグリコシド系抗生物質は本来RNAを標的とするが一般的にDNAに対してもある程度の親和性を示し、当初期待した紫外線損傷に特異的な結合は得られないという結論となった。他の候補として、2.3-ジアミノピリジンや1H-ベンゾ[de]キノリン-2.3-ジアミンのような(6-4)光産物と3本の水素結合を形成することが期待される化合物に関し、昨年度から引き続いて円二色性スペクトルによる分析を検討したが、条件を変えて測定しても結合を検出することができなかった。上述の(6-4)フォトリアーゼの反応機構の解明のために(6-4)光産物の3'側の3位を^<15>N標識してNMR測定を行ったところ、^<15>Nシグナルの化学シフト値が強アルカリ性で変化するという異常なpH依存性を示すことがわかった。紫外線吸収および蛍光スペクトルの測定においても同様であり、これらの結果は5'側5位の水酸基がこの窒素と分子内水素結合を形成していることを示している。すなわち、(6-4)光産物の化学構造を認識させるためには単純な水素結合パターンでは達成できず、分子内水素結合を開裂させることが必要であると言える。
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