2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面赤外分光を用いた細胞の動的過程の解明と細胞チップへの応用
Project/Area Number |
17206004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
庭野 道夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20134075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 久夫 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (60232237)
木村 康男 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (40312673)
宮崎 均 筑波大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40183636)
礒田 博子 筑波大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (00375429)
溝口 剛 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (70281623)
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Keywords | 細胞 / 赤外分光 / 表面 / バイオ・チップ / 半導体 / DNA / ハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
これまで、多重内部反射型赤外吸収分光法(MIR-IRAS)によって溶液中のDNA分子の赤外吸収スペクトル計測を試み、1,500〜1,800cm^<-1>の領域にハイブリダイゼーション特有のスペクトル形状の変化の観測に成功しており、この手法で実際にDNAハイブリダイゼーションが検出できることを示してきた。本年度は、この変化についてさらに考察するため,二本鎖DNAの熱変性と,それに続くハイブリダイゼーションのその場観察を試みた。熱変性では二本鎖が一本鎖に、ハイブリダイゼーションでは相補的な2つの一本鎖が二本鎖になるため、これらの構造変化を赤外分光で時系列的に測定すれば、ハイブリダイゼーションによるスペクトル変化についてのより詳細な情報が得られると考えられる。 30塩基長の合成DNAの熱変性の測定では、これまで注目していた1690cm^<-1>のピークの他に1,670cm^<-1>と1,640cm^<-1>付近にもDNAハイブリダイゼーションによるスペクトル変化が現れることを見出した。さらに、DNA塩基配列が部分的に非相補的である場合についても熱変性の様子をその場観察した。塩基配列に非相補的塩基対が含まれる場合には二本鎖構造の熱的な安定性が低下し,完全に相補的な場合と比べて,より低い温度で一本鎖構造への解離(熱変性)が起きる。赤外吸収スペクトルの変化からも,この現象をはっきりと確認できた。また、このようなハイブリダイゼーションによる赤外吸収スペクトルの変化を説明するために第一原理計算による振動数シミュレーションを行った。その結果、ハイブリダイゼーションにより塩基部に相補対形成に特有のC=0伸縮振動モードが生ずることや、一本鎖DNAの場合に,塩基部の振動モードが周囲の水分子の影響を受け易いことがわかった。これは、一本鎖DNAの塩基がむき出しになっているのためであると考えられる。
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Research Products
(4 results)