2005 Fiscal Year Annual Research Report
高次脳機能を司る脳内酸素輸送トモグラフィと脳疾患医工学への応用
Project/Area Number |
17206020
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 英史 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (40221840)
小川 邦康 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (50272703)
池田 満里子 慶應義塾大学, 名誉教授 (00051368)
須藤 亮 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究助手 (20407141)
小林 弘祐 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (70153632)
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Keywords | 脳機能 / 酸素輸送 / トモグラフィ / 医工学 / 脳血管 / 脳血流 / 脳動脈瘤 |
Research Abstract |
脳組織は、全酸素摂取量の約20%を消費するという酸素消費の旺盛な臓器であり、酸素輸送という非平衡特性が極めて重要な役割を演じている。即ち、神経活動が、酸素を消費するため、脳機能を脳内酸素レベルで解釈しようとするBlood Oxygenation Level Dependent(BOLD)イメージが、脳科学、脳神経医学、精神医学の分野で注目されている。しかしながら脳内酸素輸送のメカニズムは、不明な点がほとんどである。本研究では、脳内血管網の可視化イメージングを基に、工学側の物質移動論の手法を脳内酸素輸送に適用し、極低侵襲センサー、MRI、PETにより得られた脳内酸素濃度の変化から脳内酸素輸送を定量化することを目的としている。そこで、17年度では、聴覚野に限定して聴覚刺激による神経活動の変化と脳血流、及び酸素濃度の変化を求めた。特に、聴覚刺激に応じて特異的な神経活動3次元的にダイナミックに変化する応答を示し、血流の時間的変化がそれに呼応するように増加して最大値に達している。特に注目すべき点は、神経活動が時空間的に変化することで、さらにそれが血流の変化と同期している。即ち、神経活動の活性化が酸素受容を引き起こし、局所的な血流の増加を誘引している。酸素輸送の3次元的なマッピングを具体化するためには、脳血管の3次元分布が必要であるが、特に脳内微細血管網の可視化に成功し、微細血管網の状態を定量化することが出来た。これらの知見は、脳内酸素トモグラフィを確立するために必要であり、意義の深いデータを得る事ができた。さらに太い脳血管における血流と物質移動の重要なテーマである脳動脈瘤に関してもモデル実験を行った。特に動物に誘発した脳動脈瘤の生成が血流や酸素輸送と関連があることを示し、さらに脳動脈瘤の臨床医学のためには、血管内の3次元血流構造が必要で、患者のCT画像から3次元立体構築された瘤内の血流構造について検討を行った。
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Research Products
(6 results)