2005 Fiscal Year Annual Research Report
電磁設計に基づく低損失銀シース高温超電導線材の開発とパワーケーブル応用
Project/Area Number |
17206026
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
太田 昭男 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (10124728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雄一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (20345953)
稲田 亮史 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (30345954)
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Keywords | 銀シース / 高温超電導線材 / 多芯化 / 断面構造制御 / 全損失 / 通電損失 / 磁化損失 / 高抵抗バリア層 |
Research Abstract |
1.断面構造の異なる銀シース高温超電導線材の全交流損失特性の評価 交流外部磁界中において交流電流を輸送する高温超電導線材の全交流損失測定装置を新しく構築し,縦磁界および平行横磁界下で交流電流を輸送する銀シースBi2223高温超電導線材の全損失特性を評価した。測定には、通常の加工法で作製した線材と、二軸圧延加工により通電損失低減のために断面構造(超電導フィラメントの形状・配置)を制御した線材を使用した。線材の臨界電流値(I_C)はいずれも30A程度であり,外部磁界に対してフィラメントは電磁気的に結合して振舞うことが確認された。中心到達磁界(10mT)以下の低磁界振幅では通電損失が支配的であるため,断面構造制御による全損失低減効果が確認されたが,それ以上の磁界振幅では磁化損失の寄与が増大し,全損失低減効果は得られなかった。線材の中心到達磁界がI_C値に概ね比例して増大すること,更に送電用パワーケーブルにおいて想定される最大使用磁界振幅が数10mT程度であることから,導体を構成する低損失素線として断面構造制御のみを施した線材を使用するには、100A超の臨界電流値(I_C)を達成する必要があることが示唆された。 2.バリア入り銀シース高温超電導線材線材の作製と評価 交流磁界印加時の磁化損失増大の主要因であるフィラメント間電磁結合の抑制を目的として,フィラメント間に高抵抗材料をバリア層として介在させた銀シース多芯線材の作製を試みた。バリア層導入方法として,(1)耐熱性酸化物粉末を直接塗布して多芯化する方法(塗布法),(2)単芯線を銅で被覆して多芯化し,細線化後に銅を酸化させる方法(金属内部酸化法)を用いた。(1)では,Bi2223超電導体との反応性が少ないCa_2CuO_3粉末にBi2212粉末を少量混合したものを使用した。試作したバリア線材の臨界電流密度(J_C)は短尺で10^4A/cm^2を超える値が得られ,バリア導入に伴うJ_C劣化を15%程度に抑制できた。また平行横磁界中での磁化損失測定結果から,バリア材導入によりフィラメント間電磁結合が顕著に抑制されることが確認できた。更に(2)では,銅の事前酸化処理工程を最適化することにより,短尺で1.5×10^4A/cm^2と通常線材とほぼ同等のJ_C値を得ることができた。
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Research Products
(10 results)