2007 Fiscal Year Annual Research Report
軟X線領域複合電子分光が拓く高空間・エネルギー分解能物性診断
Project/Area Number |
17206063
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武藤 俊介 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (20209985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 朋子 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90283415)
巽 一厳 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00372532)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 電子エネルギー損失分光法 / 第一原理電子状態計算 / 波長分散型X線分析 / 多変量解析 / リチウムイオン二次電池 / 可視光応答光触媒 / 水素吸蔵材料 |
Research Abstract |
本研究の目的は,透過型電子顕微鏡(TEM)に付随した複合電子顕微分光法を確立し,材料のナノ構造及び化学結合を可視化することによって,恰も医者が病状を診断する用の材料の劣化を画像によって診断する手法を開発することにある。本年度は,手法開発として,(1)価電子帯状態密度を測定するためのTEM用波長分散型X線分光器の開発,(2)スペクトラムイメージへの多変量解析の応用による化学結合分布像表示法の開発,(3)微量元素の深さ敏感電子エネルギー損失分光法(DR-EELS)の開発を行った。(1)ではマルチキャピラリX線レンズを使用することで,およそ100-2500eVのエネルギー範囲を約1eVのエネルギー分解能でスペクトル取得できる見込みとなった。(2)の応用として,リチウムイオン二次電池正極材料 LiNi_<0.8>Co_<0.15>Al_<0.05>O_2の高温サイクル後の劣化挙動を解析し,劣化相として生成される岩塩構造相が活物質結晶粒界および電解液接触部位に偏析していることを二次元スペクトラムイメージで明確に示した。また(3)の応用として,窒素を添加したチタニア光触媒において,窒素濃度と化学結合状態の対応をつけることによって,可視光応答のための臨界窒素濃度及びその際の窒素の化学状態を明らかにした。また炭素系水素吸蔵材料中の水素捕捉位置を,振動分光法(プラズモンロス及び赤外吸収分光)と第一原理計算によって正確に同定することに成功した。以上によってこれまで検出の難しい軽元素や重なり合ったスペクトル分離が可能となり,目標の物性画像診断への基礎がほぼ確立された。
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Research Products
(15 results)