2008 Fiscal Year Annual Research Report
軟X線領域複合電子分光が拓く高空間・エネルギー分解能物性診断
Project/Area Number |
17206063
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武藤 俊介 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (20209985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 朋子 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90283415)
巽 一厳 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00372532)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 電子エネルギー損失分光法 / 第一原理電子状態計算 / 波長分散型X線分析 / 多変量解析 / リチウムイオン二次電池 / 可視光応答光触媒 / 水素吸蔵材料 |
Research Abstract |
本研究は、エネルギーおよそ100〜3000eVの領域の電子励起スペクトルに注目し、ここに反映される物性の空間分布を可視化することで、機能材料のサブミクロンオーダー性能診断技術を確立することを目的とする。本年度は最終年度として以下の成果を挙げた: 1. 局在軌道スペクトルによるイメージング 前年度までで確立したスペクトル微細構造変化の解析をもとに、STEMスペクトラムイメージング及び得られたデータに多変量解析を適用することによって、電子構造の変化に対応する局所的な物性変化の空間分布のマッピングを行う技術を確立した。具体的には窒素注入したチタニア光触媒(可視光応答)の化学状態分析、リチウム二次電池正極材料の劣化診断に適用した。 2. 波長分散型X線分光器(MCX-WDX)の確立 前年度設置されたMCX-WDXの検出器の改良および電源回路のノイズ対策を行い、前年度に比べ感度がおよそ二倍に向上した。特にスピネルフェライトにおける遷移金属のL線を測定し、金属元素の価数と占有サイトを定量的に決定する手法の開発を行った。 3. 電子チャネリングを利用したサイト選択的EELS測定のために、ビーム入射方向を連続的にデジタル制御傾斜を行い、自動測定するシステムを開発した。これと1.項の多変量解析を組み合わせて遷移金属の結晶場分裂のサイト依存性を測定することに成功した。 3. 応用測定 新しい水素貯蔵材料として注目されているAlH_3合金の分解過程をTEM内で初めて観察した。さらに結晶表面の酸化被膜の分析を行い、この材料の安定化メカニズムを明らかにした。
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Research Products
(37 results)