2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17206064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 博太郎 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 教授 (10024366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 正九 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 特任研究員 (70362671)
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Keywords | 金属物性 / 電子顕微鏡 / ナノ粒子 / 相平衡 |
Research Abstract |
直径数nmから数十nmの合金粒子においてはバルクとは著しく異なる相平衡が現れることが知られている。その中でも共晶点の急激な低下、固液2相領域の特異性、固溶度の増大については、本研究者らのこれまでの研究で実験的に確認された。この中で前者の二つ関しては、直径が約10nmより小さくなると顕著になること、および、これらは表面/界面エネルギーの効果に起因することがわかってきた。後者に関しては直径が10nmより大きい粒子おいても顕著に現れ、表面/界面エネルギーの寄与だけでは説明できないことが熱力学計算から確認された。こうした合金ナノ粒子における固溶度増加とその支配因子を明らかにすることは合金ナノ粒子の相平衡を理解するために不可欠である。本研究では、このような合金ナノ粒子における固溶度増加の傾向とその支配因子を詳しく調べるために、2固相共存状態にある合金ナノ粒子の両相における固溶度変化をAu-Ge合金ナノ粒子を用いて定量的に調べた。その結果、直径20nmより大きい粒子においては2固相共存状態にある粒子の各相での固溶度増加は少なかった。しかし、サイズ低下とともに固溶度は次第に増加することや粒子の直径が数nmまで小さくなると2相共存状態のかわりにアモルファス相が形成されることが確認された。また、粒子サイズ低下に伴う固溶度増加の傾向はAu固溶体の方がGe固溶体に比べて大きいことが確認された。直径数nmの合金粒子におけるアモルファス相形成は、合金ナノ粒子においては、表面/界面の効果が顕著となり、サイズ低下と共に共晶点(T_<eu>)がガラス遷移温度(T_g)および室温(RT:観察温度)以下にまで低下し、この三つの温度がT_g>RT>T_<eu>のような相対位置関係になるためであると考えられる。また、この表面/界面の効果は粒子の弾性的な性質にも大きな影響を及ぼし、合金ナノ粒子における固溶度増加を引き起こすと考えられる。
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Research Products
(6 results)