2007 Fiscal Year Annual Research Report
水を高効率で分解するオキシナイトライド型薄膜光触媒の精密合成
Project/Area Number |
17206081
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堂免 一成 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (10155624)
|
Keywords | 光触媒 / オキシナイトライド / 光電池 / 薄膜 / 光電変換 / 水素製造 / 可視光 / デバイス |
Research Abstract |
太陽光をエネルギー源として水を分解し水素を製造するシステムを構築する手段として光触媒材料の精密合成とその薄膜化を検討することが本研究の目的である。太陽光の地上でのスペクトル分布は紫外部のエネルギーは僅か4%程度しかなく,既存の紫外光応答型の光触媒材料では高い太陽エネルギー変換効率を望むことは不可能である。原理的には水を酸素と水素に分解するためには1.23Vのエネルギーが必要であり,これは1000nmの光のもつエネルギーに相当する。太陽光エネルギーのうち半分は400nmから800nmの可視光領域にあり,この領域の光を有効利用することはエネルギー変換効率の高い光触媒システムを構築するための鍵となる。 La_5Ti_2AgS_5O_7についてLa_2O_3,La_2S_3,TiO_2Ag_2S,Agの混合物をプレス成型したターゲットを用い金基板上にLa_5Ti_2AgS_5O_7薄膜の成膜を試みた。La_5Ti_2AgS_5O_7ではスパッタ時にAg成分の消失が激しかったためにターゲット中のAg成分の量を最適化しLa_5Ti_2AgS_5O_7の組成比の薄膜を得ることに成功した。しかし,薄膜では結晶性がほとんどなく光電流も微小であったため薄膜をスパッタ後に真空封管しアニール処理を施すことによって結晶性の高い薄膜を得ることができた。この薄膜は粉末を塗布して作成した電極と同様に光カソード電流が得られp型半導体であることがわかった。また,Na_2SO_4水溶液(pH5.9)中において光カソード電流が観察されるオンセット電位は-0.3Vvs.Ag/AgClから0.4Vvs.Ag/AgClと大幅に向上した。本溶液中での水の全分解に必要なオンセット電位は対極の過電圧を無視すると0.68Vvs.Ag/AgClであり,スパッタ法による調製によって目的にかなり近づいたことがわかる。 本課題により可視光により水を水素と酸素に分解できる光電極の開発に端緒をつけることに成功した。また,実際に粉末塗布法で調製したIrO2/(Gal-xZnx)(N1-xOx)/FTOでは気相中にH2とO2の生成が確認された。この光電流はバイアスの印加のない領域でも得られることを見出した。しかしながら,バイアス電圧を印加しないときにはH2とO2の発生は微量であり,今後さらなる薄膜の性能を向上しなければならないという課題が残った。さらに,p型半導体であるLa5Ti2Ags5O7光電極の構築に成功し水中で安定に光電流を得られた。
|
Research Products
(4 results)