2005 Fiscal Year Annual Research Report
パルス中性子透過分光撮影法を用いた新しいマテリアルキャラクタリゼーション法の開発
Project/Area Number |
17206096
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鬼柳 善明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80002202)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加美山 隆 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50233961)
古坂 道弘 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60156966)
金子 純一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90333624)
竹中 信幸 神戸大学, 工学部, 教授 (50171658)
猪野 隆 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (10301722)
|
Keywords | 加速器 / 計測工学 / 放射線、X線、粒子線 / 量子ビーム |
Research Abstract |
パルス中性子透過分光撮影法は、通常の中性子ラジオグラフィーでは得られない多くの情報が得られる。本研究では、新しい透過撮影応用分野の開拓、高性能2次元検出器の開発、理論断面積の構築、データ解析法・処理法について研究をすすめ、パルス中性子源における新しい測定手法として確立することを目指している。 本年度は、熱処理したステンレス鋼の方が表面処理したものよりも、透過中性子断面積が小さくなって見えることについて中性子断面積解析から検討してみた。この原因として、ステンレス鋼の中のグレインサイズの違いを仮定し、中性子の理論断面積を導出し、サブmmのグレインサイズであれば、これが説明できることを明らかにした。熱処理材のスペクトルには、細かい構造があることが発見され、これが微小構造を反映したものであることが考えられる。次に、相の違いを見るために、固相・液相の鉛について測定した。液相では場所によらず同じ透過スペクトルが得られたが、固相では、単結晶化していることが明らかとなるとともに、その向きが場所によって変化していくことが示された。これは、この手法が単結晶の成長過程をin-situで観測できる新しい手法となりうることを示唆している。 データ解析として、歪測定のため、ブラッグエッジの構造を解析するコードを開発した。検出器としては、これまでのものの約4倍、約5cm角の面積でありながら、最大計数率が同程度の高性能2次元検出器を開発した。また、素子開発として、物質中最大の中性子捕獲断面積をもつGdを主要構成元素とする中性子シンチレータとして、従来のGSOシンチレータの2.5倍の発光強度をもつ粉体シンチレータの開発に成功しており、その強い発光を示す構造をもった成分を安定的に合成する条件出しを行った。今年度の研究により合成時の温度プロファイルと雰囲気の制御が不十分であることが明らかとなり、次年度はこの点を中心に改良を進める。
|