2005 Fiscal Year Annual Research Report
レーザ分光と量子化学計算による酸化還元を伴う固液界面反応メカニズムの解明
Project/Area Number |
17206098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 知 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10114547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 晋也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20240723)
常田 貴夫 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (20312994)
虎石 貴 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (40376497)
木村 貴海 日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門アクチノイド分離化学研究グループ, グループリーダー (20354897)
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Keywords | レーザ分光 / 量子化学計算 / 酸化還元 / 固液界面 / アクチニド / 放射性廃棄物 / 鉄酸化物 / 移行遅延 |
Research Abstract |
アクチノイド元素(U,Np,Puなど)の金属(水)酸化物表面における酸化還元反応を伴う吸着は核種の移行挙動に大きな影響を及ぼすため、既存の放射性廃棄物地層処分評価手法の信頼性の不確実性要因となると考えられている.そこで本研究テーマでは、表面における電荷移動を伴う反応の経路決定を通じた固液界面におけるアクチノイド元素の酸化還元メカニズムの解明を研究の目的としている. 平成17年度はU(VI)-Fe(II)酸化還元系において酸化還元反応の時間発展追跡を行うことの出来るレーザ分光システムの構築、他の分光法と組み合わせた反応機構の解明、並びに量子化学計算による酸化還元機構の解明をおこなった.開発した時間分解型吸収分光/ラマン分光システムによって、Fe(II)によって吸着したU(VI)の還元反応の時間発展計測を可能にした.さらに、共存する配位子の酸化還元に対する影響を吸収分光法によって評価した結果、世界で初めて天然水中に存在する複数のキレート配位子の存在がFe(II)によるU(VI)の還元を促進していることを明らかにした.この結果は天然有機物質の共存が地下環境中におけるウランの移行を遅延する可能性があることを示唆するものである. さらに、密度汎関数法(DFT)シミュレーションにより、鉄酸化物表面におけるFe(II)によるU(VI)からU(V)への還元反応の反応エネルギーは高々7kJ/mol程度の吸熱反応であることを明らかにした.DFT計算によって得られた水溶液系での反応エネルギーが24kJ/mol程度であることから、表面におけるFe(II)によるU(VI)の還元は水溶液中におけるFe(II)によるU(VI)の還元に比べ約17kJ/mol程度安定化されていることを明らかにした.酸化物表面におけるこの安定化が鉄酸化物表面におけるU(VI)の還元の大きな要因であると考えられる.
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Research Products
(3 results)