2006 Fiscal Year Annual Research Report
レーザ分光と量子化学計算による酸化還元を伴う固液界面反応メカニズムの解明
Project/Area Number |
17206098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 知 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (10114547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 晋也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20240723)
常田 貴夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20312994)
虎石 貴 日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 博士 研究員 (40376497)
木村 貴海 日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, アクチノイド分離化学研究グループリーダー (20354897)
斉藤 拓巳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (90436543)
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Keywords | 酸化還元 / 固液界面 / 吸着 / 電荷移動 / 錯体形成 / ウラン / 鉄 / 密度汎関数理論 |
Research Abstract |
表面における電荷移動を伴う反応の経路決定を通じた固液界面におけるアクチノイド元素の酸化還元メカニズムの解明を目的として,表面におけるU(VI)-Fe(II)間電荷移動反応における配位子の影響評価および密度汎関数理論(DFT)の表面における吸着種還元現象への適用を行った.配位子としてクエン酸を,表面としてギブサイト(α-Al(OH)_3)を用いた時間分解型レーザ蛍光実験からFe(II)-U(VI)間の配位子架橋を介さない,外圏型電荷移動の可能性についての新たな発見があった.当初想定していなかったこの還元メカニズムを解明するために,様々な有機配位子存在下でのFe(II)によるU(VI)の還元に係わる速度論的研究および密度反応理論による錯体の構造計算および反応前後のエネルギー差の評価を行った.紫外可視分光測定による,配位子として酒石酸を用いた還元速度の測定,.および,得られた結果の速度論的解析から,配位子との錯体形成が還元反応における律速過程となり,反応中間体であるU(V)は観察されなかった.さらに,U(VI)の全てがU(IV)に還元されず,両者の間に平衡が成り立っていることが明らかになった.これらの点は,配位子を介した一電子移動によって還元が起こることを示唆している.また,他の配位子を用いた同様の実験との比較から,配位子の構造が還元の速度および量と密接に関係することが分かった.密度汎関数理論計算の結果はこれらの実験結果を支持するものであった.
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