2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17208010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
及川 英秋 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (00185175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大栗 博毅 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (80311546)
常盤野 哲生 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (50312343)
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Keywords | ポリエーテル / 生合成 / ポリケタイド / 環化酵素 / 酸化酵素 |
Research Abstract |
昨年度までにポリエーテル系抗生物質ラサロシド生合成遺伝子クラスターの取得および全長の解析を終了し、目的とするエポキシ化酵素、環化酵素(エポキシド加水分解酵素)遺伝子の同定に成功した。また予想生合成中間体の立体選択的な合成も達成した。今回発現ベクター等条件を種々検討し、エポキシ化酵素、環化酵素遺伝子を大腸菌にて大量発現する方法論を確立した。さらに環化における基質を合成するため、仮想前駆体プレラサロシドのエナンチオ選択的なエポキシ化の条件を見出すことにより、非酵素的な環化が進行しやすく不安定な基質の合成に成功した。 発現酵素を用いて、酵素反応条件を種々検討した結果、プレラサロシドのビスエポキシ体をラサロシドに変換する酵素活性を見出した。この反応では非酵素的な環化(プロトン酸処理)では5員環エーテル形成が優先するが、環化酵素存在下でのみ6員環エーテル形成が確認できた。この実験結果は長年論争されてきた環化における真の基質を同定したのみならず、2段階のエーテル環形成が、単一の酵素により触媒されることを明確に示した。また基質特異性に関し詳細な検討をし、本来の基質より大きな分子あるいは半分のサイズの分子でも環化が進行するという興味深い知見を得た。以上の結果は世界で初めてポリエーテル環形成を触媒する酵素を見出し、その酵素の環化機構を詳細に検討した最初の例となった。特に連続的な環化を触媒する機構は、関連のイオノフォア抗生物質のみならず、海産の微細藻由来の毒成分の生合成まで適用できる可能性が出てきた。
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Research Products
(6 results)