2005 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ肥満細胞腫における腫瘍化機構の網羅的解析と新たな分子標的治療法の確立
Project/Area Number |
17208027
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松田 浩珍 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (80145820)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 あかね 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (80418673)
下田 実 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究部, 教授 (50154323)
新井 克彦 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60175940)
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命学研究科, 教授 (60163804)
西村 亮平 東京大学, 大学院・農学生命学研究科, 助教授 (80172708)
|
Keywords | シグナル分子 / 細胞増殖 / 細胞周期 / 肥満細胞腫 / 転写因子 / 分子標的 / イヌ / 突然変異 |
Research Abstract |
本研究の目的は,イヌ肥満細胞腫の腫瘍化機構を、遺伝子から細胞内シグナル分子・癌抑制因子まで網羅的な解析を行い、腫瘍化に寄与するターゲット分子を決定、その阻害分子の標的治療薬を設計・創薬し、新たな分子標的抗がん治療法を確立することである。本年度得られた知見は以下の通りである。 1.臨床症例から試料の採取を行い、遺伝子・蛋白・転写因子の抽出用に処理・保存している。平成17年度には50以上のサンプルを得た。シークエンサーを用いてc-kitレセプターの遺伝子解析を行い、突然変異の存在を検証しているが、c-kit非依存性の肥満細胞腫が全体の80%以上であることから、恒常的活性化を起こしている他の増殖シグナル経路を解析している。また、腫瘍細胞株を用いてマイクロアレイ法を行い、正常な肥満細胞と比べて著しく発現の亢進している遺伝子を検索している。 2.細胞内シグナル伝達分子および転写因子の活性化を検討している。特に、NF-κB活性化を誘導する上流の細胞内シグナル分子をプロテインアレイ法にて検討し、数個の標的候補分子を同定しつつある。特に、c-kitに遺伝子変異を有しない数種の肥満細胞腫細胞を用いてRTKアレイ法およびプロテインアレイ法を実施し、腫瘍性増殖を誘導する候補分子の同定を進めている。 3.肥満細胞腫株にp53を過剰発現させるために、また、IL-3依存性マウス肥満細胞株であるIC-2細胞に変異遺伝子を導入し自己増殖性の有無を検討するために、遺伝子改変アデノウイルスベクターを使用した導入試験を行い、高い遺伝子導入率が得られるようになった。 4.PI3Kシグナル経路の各分子に対する特異的な阻害を行い、腫瘍性増殖が停止することを確認するとともに、これらの薬物を用いて新規治療法の開発に向けたin vitro試験を行った。続いて、免疫不全マウスに移植した犬肥満細胞腫について、治療試験を開始している。
|
Research Products
(6 results)
-
-
-
-
[Journal Article] A novel NF-κB inhibitor, IMD-0354, suppresses proliferation of human mast cells with constitutively activated c-kit receptors.2005
Author(s)
Tanaka, A., M.Konno, S.Muto, N.Kambe, E.Morii, T.Nakahata, A.Itai, H.Matsuda
-
Journal Title
Blood 105
Pages: 2324-2331
-
-