2005 Fiscal Year Annual Research Report
炭素動態モデルに基づく湿潤熱帯生態系における土地利用適正化に対する提言
Project/Area Number |
17208028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小崎 隆 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (00144345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
縄田 栄治 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30144348)
田中 樹 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (10231408)
舟川 晋也 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20244577)
矢内 純太 京都府立大学, 農学研究科, 助教授 (00273491)
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Keywords | 乾湿変動 / 純一次生産量 / 人工降雨実験 / 土壌酸性 / 土壌酸性化速度 / 土壌有機物動態 / 微生物バイオマス |
Research Abstract |
本研究では、年間を通した土壌有機物・酸動態の同時解析と、短期的乾湿変動に伴う土壌有機物・微生物バイオマス動態の解析を行った。 1)日本、タイ、インドネシアの森林・耕地において、土壌有機物と各元素の動態を実測した。その結果、森林においては陽イオンの系外への溶脱は少なく、主に植物の陽イオン吸収によって土壌酸性化が進行していた。特にpHの低い日本、インドネシア森林では有機酸が陽イオン移動の推進力となっていた。このような低pH条件下における溶存有機物の下方浸透量は年間有機物分解量の14%にも及んだ。一方耕地では、硝酸化成によって生成されたNO_3^-の溶脱に伴い系外へ陽イオンが溶脱し、不可逆的な土壌酸性化が進行した。森林・耕地ともに土壌酸性化速度は純一次生産量に依存し、純一次生産量として炭素1 mol ha^<-1> yr^<-1>が生産されるあたり、森林においては0.01 mol_c ha^<-1> yr^<-1>、耕地においては0.02 mol_c ha^<-1> yr^<-1>の土壌酸性化が進むことが定量的に示された。 2)明瞭な乾季を持ち、気候と土性が異なる6地点(タイ2点、タンザニア、ニジェール、ハンガリー、カザフスタン)に調査地を設定し、乾季中に人工降雨実験を行った。それぞれの圃場で、無処理区、人工降雨処理区、(易分解性有機物添加+降雨処理)区の3処理区を設定し、有機物分解速度、微生物バイオマス量、表層土壌中の無機態窒素量を経時的に測定した。その結果、乾湿変動に伴う有機物分解は主に微生物の分解活性が増加することでおこり、短時間で終了していることが圃場レベルで明らかとなった。その中でC_0/TCが高い熱帯気候下の砂質土壌では、特異的に乾湿変動後にMBの増加を伴った顕著な有機物分解が起きることがわかった。 以上の結果から、湿潤熱帯における土壌有機物動態モデル構築に際して、土壌酸性のパラメーター化と、砂質土壌における土壌有機物・微生物バイオマス動態の同時記述の必要性が明らかとなった。
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Research Products
(6 results)