Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (00302612)
前田 和哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00345258)
林 久允 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (10451858)
設楽 悦久 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 講師 (00306656)
滝川 一 帝京大学, 医学部, 教授 (70197226)
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Research Abstract |
本年度は,多くの薬物の体内動態,臓器分布を決定する要因となるトランスポーターと薬物の組合せを多数決定するとともに,薬物間相互作用の予測を行う上で重要な1要因である,小腸における相互作用を定量的に予測するための理論的考察ならびに動物実験による検証を行なった。まず,dantrolene,prazosin,triamtereneのような薬物,MelQxやPhIPのような発がん性物質の脳内・精巣内への分布にBcrpが関与することを明らかにした。さらに,Bcrp基質の中でも,弱酸性基質はP-gpへの認識は弱いが,中性や塩基性のBcrp基質は同時にP-gpにも認識され,協調的に組織内への移行を制限していることが明らかとなった。さらに,脳内へのoseltamivirの移行については,P-gpが主に関与することを動物実験により明らかにした。また,クリアランス臓器としての肝臓については,肝臓内から血管側へのくみ出しに関与するMrp3が,fexofenadineやmethotrexateの胆汁排泄クリアランスの決定に重要な役割を果たしていることを,未変化体薬物としては初めて明らかにした。一方で,小腸における薬物相互作用の予測としては,理論的に数理モデルを立てることで,invitroにおける阻害定数(Ki値)と,in vivoにおけるみかけの代謝阻害定数を関連付けることができることが示された。また実際に,ラットにmidazolamのCYP3A4の代謝をketoconazoleで濃度依存的に阻害した結果,midazolamの吸収アベイラビリティが増加した。また,理論に基づいてin vitro実験から得られたCYP3A4の阻害定数と比較することで,仮想的な見かけの小腸内容積を求めることができ,小腸管腔内の薬物濃度を推定する上で有用な情報を与えることに成功した。
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