2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリが産生するVacA毒素の受容体の機能と毒性発現
Project/Area Number |
17209015
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平山 壽哉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50050696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 昭裕 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (70253698)
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Keywords | ヘリコバクター / 空胞化毒素 / VacA / 細菌毒素 / ミトコンドリア障害 / COX-2 |
Research Abstract |
ヘリコバクター・ピロリが産生する空胞化毒素VacAの胃粘膜障害機序を明らかにする。そのために、「VacA毒素がその受容体である膜型チロシンフォスファターゼ(RPTP)に結合することによって惹起される空胞形成及び細胞死にいたる細胞内シグナル伝達の流れを明らかにする」ことを目指し、以下の研究成果を得た。 1.VacAはlipid raft以外の細胞膜上に存在するRPTPβに結合し、温度依存的にlipid raftに集積した後に細胞内へ移行する。空胞形成及びp38MAPキナーゼの活性化には細胞膜にあるGPI-anchored proteinが必須であることが分かった。 2.VacAはp38MAPキナーゼの活性化は転写因子ATF-2のリン酸化を引き起こす。一方、ATF-2の活性化はCOX-2の発現を促すことが知られており、VacAはAZ-521細胞のCOX-2発現を促進することが判明した。このCOX-2発現はp38MAPキナーゼのドミナントネガティブな遺伝子を発現させた系では著明に抑制したが、一部Erkの関与も示唆された。 COX-2は炎症及び発癌に関わる重要な酵素であるが、その発現をATF-2転写因子を活性化することにより促すことが明らかにされたことから、以前にも増して、VacAの毒性を理解する上で転写因子とのかかわりを究明することが重要であると考える。 3.VacAのミトコンドリア障害はVacAによるBaxおよびBakの活性化に起因することが分かった。
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Research Products
(6 results)