2006 Fiscal Year Annual Research Report
飛行時間型質量分析法(TOFMS)の法医学的応用研究:生物兵器とドーピング
Project/Area Number |
17209025
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 修 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70093044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 加奈子 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (70288546)
野澤 秀樹 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40313944)
権守 邦夫 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10006744)
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Keywords | 飛行時間型質量分析法 / 薬毒物分析 / 生物兵器 / 化学兵器 / ドーピング / テロ / 安全 / 安心 |
Research Abstract |
1.LC-QqTOFタンデムMS方式とLC-TOFシングルMS方式との比較:機械の複雑性のため現在でも十分に使いこなせているとは言い難いが、何とかLC-QqTOFタンデムMS方式とLC-TOFシングルMS方式の両者でこのMS計を稼動させることが出来るようになった。今回はきのこ毒の一種であるサイロシンについて、タンデムMS方式とシングルMS方式とを比較検討してみた。シングルではm/z205のイオン、タンデムではm/z205→58のイオンを用いた。結果として両者の方式とも高感度であったが、S/N比から検討すると両者の検出限界に余り差は無く、いずれも注入量で約20pgであることが判明した。従って、TOFMSではタンデム方式にすると分解能が低下することも考慮し、今回はLC-TOFシングルMS方式を採用することとした。 2.マジックマッシュルームからのサイロシンとサイロシビンの抽出条件の設定:前年度の実績報告書にも記載した通り、サイロシンとブフォテニンに変わってOasis HLBとOasis MCX抽出カラムを用いて種々の条件を試してみたが、60%以上の回収率を得ることが出来なかった。したがって、とりあえず従来の有機溶媒抽出を用いることとした。今回の実験では、サイロシンと同時にリン酸基が付加したサイロシビンの定量も思慮に入れたため、メタノールとアセトニトリルを用いることとした。両方の有機溶媒による抽出を試みたところ、原因は明らかではないが、アセトニトリルを用いるとピークが極端に小さくなり高感度検出が出来なくなることが判明したため、メタノールにて抽出することとした。 3.HPLC条件の確立:前年度の実績報告書ではHPLC条件は検討中と報告した。今回、サイロシン、サイロシビン、内部標準としてのブフォテニンの同時検出が出来る様、各種のHPLC条件を確立した。HPLCの分離カラムとして種々のものを検討した結果Inertsil ODS-3(2.1×150mm、粒径5μm)カラムを採用した。移動相は10mM蟻酸アンモニウム(pH3.5)/メタノール(80:20)が比較的良好であった。今回の実験はイソクラティク溶出で流速は0.2ml/minとした。本条件下でサイロシンとサイロシビンはそれぞれ5.2と3.4分に溶出された。 4.乾燥マジックマッシュルーム中のサイロシンとサイロシビン濃度:以上の様なLC-TOFMS条件と前処理条件を確立した上で実際の乾燥マジックマッシュルーム中サイロシンとサイロシビン濃度を本方法で測定したところ、まだ例数が少ないが、傘部でそれぞれ41.9ならびに586μg/g、柄部で44.9ならびに534μg/gであった。今後、マジックマッシュルームの例数を重ね、さらにヒト試料からの検出・定量法も確立すべく実験を進展させているところである。
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Research Products
(5 results)