2006 Fiscal Year Annual Research Report
腸管上皮におけるWnt/Notchシグナル間新規クロストーク機構の解明
Project/Area Number |
17209027
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 輝一郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (40376786)
清野 宏 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10271032)
半田 宏 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 教授 (80107432)
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Keywords | 再生医学 / シグナル伝達 / トランスレーショナルリサーチ / 発生・分化 |
Research Abstract |
本研究は腸管上皮細胞におけるWnt/Notchシグナルのクロストークを解析することによって腸管上皮の分化調節機構、幹細胞維持機構など腸管再生の根幹となる理論基盤を構築することを目的とすることである。本研究では当初の研究計画に示した項目につき、下記に示すごとく大きな研究成果が得られた。腸管上皮細胞分化に重要な役割を担うbHLH転写因子であるHath1遺伝子は転写後調節としてWntシグナルにより蛋白安定性を介してHath1機能である転写活性を直接制御されることが明らかになった。興味深いことにWntシグナル内のGSK3を介したリン酸化によるユビキチン-プロテアソーム系の積極的な蛋白分解機構によって制御されておりこれはbeta-cateninの制御機構と同一であることからWntシグナルが「細胞増殖」と「分化」を対等に蛋白安定性にて制御する機構であることが解明された。Wntシグナルの異常亢進している大腸癌由来細胞株においてはHath1の積極的な蛋白分解を認め、さらに実際にヒト大腸癌においてもHath1遺伝子の発現を認めるがHath1蛋白の発現を認めないことから、Wntシグナルの破綻が未分化の維持だけでなく分化誘導の積極的な阻害が発癌に関与することが示唆された。さらに本年度はHath1の積極的な蛋白分解を回避するHath1変異体を作成し大腸癌細胞で発現させたところ、ムチン2遺伝子増加を伴う分化誘導を確認した事よりHath1の積極的な蛋白分解が大腸癌細胞の未分化維持に関わることが証明できた。一方でNotchシグナルに関してはNotch阻害剤の処理にて大腸癌細胞株のHath1遺伝子の増加とともに分化を誘導することに成功した。また個体レベルにおいてもマウスにNotch阻害剤の処理にて腸管上皮の杯細胞の増加を認め、分化誘導が確認できた。以上よりHath1遺伝子発現をNotchシグナルがHath1蛋白安定性をWntシグナルが制御することで腸管上皮細胞の分化調節を行うことが示唆され、両者シグナルのさらなる詳細な制御機構を解析中である。
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Research Products
(6 results)