2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児における急性脳炎・脳症の病態・診断・治療に関する研究
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17209037
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森島 恒雄 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90157892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
布井 博幸 宮崎大学, 医学部, 教授 (50218260)
水口 雅 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (20209753)
岡部 信彦 国立感染症研究所, 感染症情報センター, センター長 (10057028)
木村 宏 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30303621)
市山 高志 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (20263767)
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Keywords | 急性脳炎 / 急性脳症 / サイトカイン / 単純ヘルペスウイルス / HHV6 / SSPE / インフルエンザ / SNPs |
Research Abstract |
今年度以下の研究結果を得た。 (1)単純ヘルペス脳炎の早期診断方法について、PCR法と、より簡便なLAMP法とを比較した。その結果、通常の感染診断にはLAMP法は良いが、髄液を用いた脳炎の診断においては、感度が低く、信頼度が劣ることが判明した。その他HHV6,麻疹ウイルス、エンテロウイルスなどの病因診断法も検討が進んでいる。 (2)単純ヘルペス脳炎(HSE)は予後不良であることが知られているが、抗ヘルペス剤であるアシクロビルが有用である。一方、本症の病態として新生児ヘルペスにおける研究から、ヘルペスウイルスの全身感染の時、必ずしもウイルスの増殖によるnecrosisのみでなく、apoptosisも起きていることが予測されるため、現在この点の解析を進めているが、ステロイドを治療に併用した症例の予後が良い事が明らかになった。 (3)インフルエンザ脳症のガイドラインが作成され(2005年11月)、広く診療に用いられているが、HHV6も小児の脳症の主な要因である。HHV6とけいれんとの関与について調査し、本ウイルスがけいれんを伴いやすいこと、脳症を起こした場合、インフルエンザ脳症と近似した病態を示すことが明らかになった。 これは、インフルエンザ脳症の発症要因に、宿主のゲノムの異常(SNPsの存在)が判明しつつあるが、HHV6脳症も同様のSNPsを持つのか、あるいは別の部位の異常なのか次年度の重要な課題となる。 (4)SSPEの治療として、インターフェロンとリバビリンの脳室内投与の効果と安全性について、検討を続けている。髄液中の麻疹RNA量の推移や、臨床症状の進行の抑止を指標とするとした場合、明らかに効果を示す例もあるが、全体の評価には症例数を増やす必要がある。 (5)次年度は、(1)小児の脳炎・脳症の全国疫学調査を年度早期に、(2)またHHV6やロタウイルスなどによる脳症の発症に関与するSNPsなどの検出などが重要な課題となる。
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Research Products
(6 results)