2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17209054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 壽一 京都大学, 医学研究科, 教授 (90176339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 純 京都医療センター臨床研究センター, 政策医療企画研究部, 研究員 (30252448)
中川 隆之 京都大学, 医学研究科, 助手 (50335270)
平海 晴一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10374167)
小島 憲 京都大学, 医学研究科, COE研究員 (60378685)
三浦 誠 京都大学, 医学研究科, 講師 (70263077)
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Keywords | 細胞移植 / 高度難聴 / 有毛細胞 / ラセン神経節細胞 / ラセン靭帯 / 幹細胞 / 骨髄間葉系細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまでに我々が開発した細胞移植療法、内耳薬物投与システム(ドラッグデリバリーシステム)などを利用した内耳再生医療技術を用いて、具体的な疾患モデル治療への応用と高度難聴に対する内耳再生医療の臨床応用の基盤となる治療技術開発を行うことである。 1)ラセン靭帯障害モデル:ギャップ結合タンパクの欠損は最も頻度の高い遺伝性難聴の原因であるが、このタンパクはラセン靭帯に発現している。ATP阻害薬を適切な濃度で内耳に局所投与すると、ラセン靭帯の2型繊維細胞が特異的に障害され、ラセン靭帯障害モデルとして使用できることが分かった。骨髄間葉系細胞を内耳に移植するとラセン靭帯やラセン板縁に生着し、ラセン靭帯特異的なタンパクが発現したことから、ラセン靭帯の再生に用いることができる可能性があるので、これをラセン靭帯障害モデルに適用する。 2)老人性難聴モデル:加齢とともに難聴が進行するマウスに骨髄由来細胞を移植すると、ラセン靭帯やラセン神経節周辺に生着した。これらの細胞の機能について評価中である。また、老化マウスでは、蝸牛内の骨髄由来細胞が増加することが分かった。これらの細胞の役割を次年度検討する。 3)前庭神経鞘腫モデル:前庭神経鞘腫による聴神経圧迫障害に対応する、聴神経の圧迫によるモデルは以前に確立したが、これに中枢側からES細胞を移植して、細胞が蝸牛の広い範囲にまで遊走することが分かった。また、蝸牛神経細胞株を移植すると、感覚ニューロン用の細胞に分化することが判明した。 4)ラセン神経節障害モデル:ウアバインを内耳に局所投与すると、ラセン神経節細胞が特異的に障害された。Auditory neuropathyなどの病態に対応するモデルである。人工内耳手術をモディファイした術式にて細胞移植を行い、蝸牛機能が改善することを示唆する所見を認めている。今後、分子生物学的な裏付けを取り、臨床応用に向けた研究開発を行う。
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Research Products
(8 results)