2005 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎と心血管系および骨代謝系疾患との関連性についての分子機構の解明
Project/Area Number |
17209057
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中山 浩次 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80150473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 通 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00211029)
天野 敦雄 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50193024)
吉村 篤利 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70253680)
大原 直也 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (70223930)
内藤 真理子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20244072)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 歯学 / 循環器・高血圧 / 免疫学 / 骨代謝 |
Research Abstract |
本年度の当初の実験計画ではP.gingivalisをApoE欠損マウスの口腔内や静脈内に接種して心血管疾患モデルを作製し、いろいろなP.gingva1is変異株を用いた実験を行う予定であったが、ApoE欠損マウスの米国からの購入がカルタヘナ議定書締結の関係で9月まで遅れ、現在、頭数を増やす努力を行っている。 ヒト末梢血単球へのP.gingivalisの感染の影響について解析した。表面抗原の解析からP.gingivalis感染単球はM-CSFにて処理した単球と類似した表面抗原の発現様式を示した。さらにP.gingivalis感染単球はプラスチック平板への接着性が亢進した。つぎにP.gingivalisの異なる株を用いて樹状細胞への影響を調べた。W83(強毒株)を感染させた樹状細胞よりATCC 33277(弱毒株)を感染させた樹状細胞のほうがナイーブT細胞の増殖を誘導した。 一方、骨代謝系へのP.gingivalisの影響については以下の結果が得られた。P.gingivalisを血液寒天培地で培養した際にその菌体表面に顕著に発現が認められる19kDaのタンパク質(HbR)は、ヘモグロビンとの結合性を有し、P.gingivalisにおけるヘムの獲得・蓄積に関与していることで知られており、rgpA、kgp、およびhagA遺伝子内にドメインタンパク質としてコードされている。マウス骨髄細胞由来の破骨細胞前駆細胞にM-CSF、RANKLと共に組換えHbRタンパク質を添加して5日間培養するとTRAP陽性多核細胞の形成が抑制されることをすでに報告した。今回、破骨細胞前駆細胞にP.gingivalisの長期培養上清中にHbRタンパク質が多量に含まれていること、また、この培養上清を添加すると破骨細胞前駆細胞からのM-CSF/RANKL誘導性破骨細胞形成が抑制されることがわかった。さらに、組換えHbRタンパク質を2日目以降に添加した場合には抑制効果が認められなかった。細胞内シグナルでは組換えHbRタンパク質添加によりRANKLで誘導されるAktのリン酸化や、NFATc1及びc-Fosの発現が抑制された。組換えHbRタンパク質添加はIFN-βの発現を誘導したが、その誘導レベルは破骨細胞分化を抑制する量には達していないことがわかった。
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Research Products
(6 results)