2007 Fiscal Year Annual Research Report
グローバリゼーション下のインドにおける国土空間構造の変動と国内周辺部問題
Project/Area Number |
17251009
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡橋 秀典 Hiroshima University, 大学院・文学研究科, 教授 (00150540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 正輝 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30156608)
由井 義通 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80243525)
MAHARAJAN Keshav-Lall 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (60229599)
友澤 和夫 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40227640)
荒木 一視 山口大学, 教育学部, 准教授 (80254663)
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Keywords | 人文地理学 / インド / グローバリゼーション / 国内周辺部 / 中心周辺 構造 / 地域格差 / 都市問題」 / 農村社会 |
Research Abstract |
平成19年度は本研究の最終年度であり、研究分担者により、インドでの3週間前後の現地調査を実施した。主たる対象地域は、インドヒマラヤに位置し山岳地域の国内周辺部としての特徴を有するウッタラカンド州である。山岳地域の観光地であり中心性も高いナイニタルを拠点に、観光産業の動向、住宅地開発の特徴、近郊農村の変貌について調査し、一部は工業化の調査のために山麓部においても調査を行った。明らかとなった点は、以下の通りである。 ウッタラカンド州は周辺性の強い山岳州の一つである。デリー等の大都市への出稼ぎが多く、それらの送金に依存するマネーオーダー・エコノミーが成立し、従属性の強い経済構造を特徴としてきた。しかし、インドの急速な経済発展の影響を受けて、この地域の経済にも大きな変化がみられる。一つは、観光開発の進展であり、山岳地域に分散的にリゾート開発が進んでいる。それらによる雇用など経済的波及効果がみられるが、環境やコミュニティとの関係で持続的な発展が問題となる。ナイニタル近郊の村落では、野菜など商業的な農業の発展と教育水準の向上による雇用の改善がみられた。従来型の出稼ぎは減っているが、これは地方都市に近い調査村の特性とも考えられる。より遠隔性の高い農村の動向を把握する必要がある。新たな動きとして注目されるのは、2003年に国及び州の「新工業政策」が策定されて以来、税制面の優遇策を求めて山麓部を中心に工業立地が活発化し、それがこの地域の経済に大きな影響を与えていることである。このようにみると、この州では、山麓部や都市部において顕著な経済の成長が認められるが、より広い範囲の山岳農村には波及効果が十分に及ばず、州内の地域格差を拡大させている可能性がある。今後、さらにこの点を精査する必要があると考える。
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Research Products
(20 results)