2006 Fiscal Year Annual Research Report
東部および南部アフリカにおける自由化とエスノナショナリズムの波及
Project/Area Number |
17251012
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中林 伸浩 金沢大学, 文学部, 教授 (30019848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松園 万亀雄 国立民族学博物館, 館長 (00061408)
小馬 徹 神奈川大学, 人間科学部, 教授 (40145347)
小田 亮 成城大学, 文芸学部, 教授 (50214143)
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Keywords | 文化資産 / 文化王国 / 博物館 / 共同体 / 医療政策 / 個別民族主義 / ナショナリズム |
Research Abstract |
現代のアフリカにおける社会文化的な事象は、政治的および経済的な「自由化」の影響を受け始めている。それは多分に外圧によるもので、一般的に言えば「近代化」の過程の一部である。しかしその過程はアフリカ中で一様でもないし、また伝統から近代へという図式がそのままあてはまるものだけではない。とくに近代ナショナリズムの進展に対抗するように生成している個別的な民族主義の傾向(つまりエスノナショナリズムあるいは「トライバリズム」)は、現代のアフリカ文化の問題としても興味深いものである。私たちの研究は文化人類学の観点からアフリカ各地で起きている個別民族主義の実地検証を通じて、現代アフリカの文化的発展の一側面をあきらかにしてきた。たとえばウガンダにおける王国の復活は、その廃止前にもっていた政治的権力を除くことで実施された。その結果生まれた四つの「文化王国」は、エスニックなアイデンティティのよりどころになっている。ケニアのカレンジン系民族の間では、かって共有していたアイデンティティに分裂のきざしが現れている。すなわちナンディ人のあいだで、かっての預言者をみずからの歴史に位置づけようとする動きがあり、そのための博物館がつくられ、そうした動きに反発するキプシギス人とのあいだに亀裂が生じている。こうした民族的文化資産の利用は、国や大学といった機関が利用すると、多民族国家における国民文化形成という方向付けがされることにも、注目している。そのほか私たちのグループが調査したのは、ルオ人における居住コンパウンドの概念が家屋建築材料の変化や土地の価値化によって変化し始めていること、これまでの共同体概念をケニアの村落において再検討すること、ウガンダの伝統医が国の医療政策に則りながら、ハーバリストとよべるような新しいタイプの治療師を生み出していることなどである。
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Research Products
(7 results)