Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 徹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30227839)
遠藤 貢 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70251311)
永田 淳嗣 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30218002)
松葉口 玲子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (30304562)
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Research Abstract |
本年度は,夏休みと春休みの2回に分けて,のべ55日間にわたり現地調査を実施した。なお,当初計画では農村調査を中心とするはずであったが,治安問題のために農村調査は限定された範囲にとどまった。まず,2007年7月26日から9月1日までの間,中西はマニラ近郊のマラボン市におけるスラム地区に在住する低所得層の人々によって形作られるソーシャル,ネットワークの特質について,親族組織や家族経済の実態に焦点を合わせて質問票調査を実施した。遠藤は8月1日から10日までこの調査に加わった。またこの間,遠藤はセブ島のセブ市において,現地のキリスト教会(ドン・ボスコ)のソーシャル,ワーカーや,本研究の研究協力者として同行した「人間の安全保障」プログラム修士1年の林如子と共同しながら,スラムにおける教育サービスの提供の現状と課題についての調査を実施した。次いで2008年3月14日から3月19日まで,丸山はマラボン市のスラム地区を訪問し,自家消費用野菜作りの現場を観察したり,スモーキーマウンテン跡地の近隣に展開されている新たなゴミ埋立地の見学,およびスカベンジャーの子供たちの自立を支援するNGOでインタビューを行った。3月17日から18日までは永田が調査に合流し,マラボン市北部の農村地帯の見学を行った。永田は引き続き3月19日から30日までフィリピンに滞在し,ミンダナオ島で,近年のプランテーション経済の拡大と,アキノ政権下で断行された農地改革が,プランテーション労働者の経済的・社会的生存基盤,地域の生態基盤にどのような影響を与えているのかを調査した。その結果,農地改革が必ずしも公正な形で労働者の経済的・社会的生存基盤の強化につながっていないこと,高地での農園開発が,広域的な生態環鏡に与える多様な影響の存在などが明らかになった。松葉口は現地調査には参加せず国内で情報収集を行った。
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