2006 Fiscal Year Annual Research Report
千島列島付近潮汐混合の直接観測と北太平洋海洋循環・変動に与える影響の解明
Project/Area Number |
17253004
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 一郎 東京大学, 海洋研究所, 教授 (80270792)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比谷 紀之 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (80192714)
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
川崎 泰寛 独立行政法人水産総合研究センター, 北海道区水産研究所, 室長 (20416027)
渡辺 豊 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助教授 (90333640)
|
Keywords | 海洋 / 潮汐 / 西岸境界流 / 気候変動 / 乱流 / 海洋物理 / 海流 / オホーツク海 |
Research Abstract |
本研究は、千島列島付近の強い潮汐混合が海流場や生物生産に及ぼす影響を明らかにするために、その根本原因である千島列島・オホーツク海において混合の実測を行うこと、その結果に基づき、数値計算や観測によって海流場への影響を明らかにすることを目標としている。本年度は、平成18年8月10日から9月14日にロシア船クロモフ号によるオホーツク海航海を、総合地球環境学研究所主催の「北東アジアの人間活動が北太平洋の生物生産に与える影響評価(通称アムールプロジェクト)」と連携し、千島列島海域及びオホーツク海北西部海域での乱流計による鉛直混合観測を実施した。この観測航海に先立ち、平成17年度に導入した2000m深までのリアルタイム観測が可能である海洋鉛直微細構造プロファイラVMP2000用を運用するための、ウインチ・モータシステムを導入し、淡青丸航海などにおいて運用試験をおこなった。千島列島海域における3観測点における1日繰り返し観測、及び、ブッソル海峡を横切る観測点において、初めての直接乱流観測を行った。その結果、観測点での鉛直平均が鉛直拡散係数にして1000cm^2/sを越える強い乱流場を含む観測点が存在することがわかった。また、場所・時間によって、乱流場が大きく変化することが明らかとなりつつある。本観測では、千島列島海域での観測途中でウインチ・モータシステムが故障し、500mより深い水深及び海底直上の観測データを取得することができず、来年度以降の観測に期待することになった。また、前年度に続き、千島列島付近・アリューシャン列島・べーリング海での強い日周潮汐潮汐流が18.6年周期で変動することに起因すると考えられ本研究での主要な目的となっている海洋・大気の約20年周期変動について、データ解析・数値モデル実験によって検討した。歴史データ解析によって、北海道南方の親潮、オホーツク海、千島列島南方親潮上流海域・べーリング海・アリューシャン列島周辺において、潮汐18.6年振動と整合的な中層水塊及び表層塩分の変動を発見した。また、北太平洋を特長つけるアリューシャン低気圧の変動とも整合的であり、潮汐変動・西岸境界流を通じて気候変動と関連つける仮説をたてた。これらの結果は、国際会議PICES・日本海洋学会において発表するとともに、米国地球物理学連合AGUの一流国際誌Journal of Geophysical Research, Geophysical Research Lettersに掲載された。また、黒潮続流付近での亜寒帯水が亜熱帯へ輸送される過程を観測した結果が、アメリカ気象学会一流国際誌Journal of Physical 0ceanography誌に掲載された。
|
Research Products
(4 results)