2005 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジアのアンコール王国時代の王道と橋梁と駅舎に関する総合学術調査
Project/Area Number |
17254005
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
片桐 正夫 日本大学, 理工学部, 教授 (50059515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 五郎 日本大学, 理工学部, 教授 (40059423)
重枝 豊 日本大学, 理工学部, 助教授 (30287586)
伊東 孝 日本大学, 理工学部, 教授 (30287578)
藁谷 哲也 日本大学, 文理学部, 助教授 (30201271)
石澤 良昭 上智大学, 外国語学, 教授 (10124851)
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Keywords | カンボジア / アンコール大国 / 王道 / 橋梁 / 駅舎 |
Research Abstract |
アンコール王国時代の王道と橋梁については、ブルーノ・ブルギエ「古代カンボジアの石橋〜国土の整備ありは統制か」(フランス極東学院、87編2巻、2000年)において踏査・報告されているが、各種分野の専門家による橋の構造やその年代特定については精査されていない。近年の政情および環境の改善により、実地調査が可能な範囲が広がったことから、本年度はブルギエによる報告と道路事情をもとに、石橋が多数現存する王道3区間を選定し、建築・土木・環境の専門家により橋梁を中心としたゼネラルサーヴェイを実施した。調査では、小型GPSによる王道および橋の位置の測定、構造的特徴を把握するための橋梁の実測、データベース化のための調査項目について検討をおこなった。 本年度に調査対象とした3区間の概要は以下の通りである。 (1)アンコールエリア〜コンポンクデイ間(現国道6号線):石橋が最も多く残る王道で、本調査では11橋を確認した。アンコールエリアから東南方向(ベトナム南部、チャンパー)に延びるこの王道は、現在は首都プノンペンとシェムリアップを結ぶ幹線道路(国道6号線)として活用されている。ポルポト政権による破壊や近年の道路整備により一部の橋は損壊または失われているものの、主要な橋は迂回路などにより保護されている。ブルギエは23橋の存在を報告しているが、現地の情報によると17橋が現存するといわれている。コンポンクデイのスピアン・プラップトフ(全長85m、幅16m、スパン数21)は現存する橋では大規模に属する。他10橋は、5,7,9スパンの小規模な橋である。橋脚幅は約1m、橋床幅は7〜8m。砂岩の欄干が一部残るものや、部材の積み方や加工に相違点がみられる。 (2)アンコールエリア〜コンポンスヴァイ間:プラサート・バッチュムからベンメリアに延びる古道上に、1橋を確認した。部分的に崩れ橋の全体像を把握することは困難で、彫刻付の砂岩製欄干が残る。ベンメリアからコンポンスヴァイ間には6橋が確認できた。ブルギエの報告では18橋が確認されている。 (3)アンコールエリア〜タイ方面間: タイ方面に平行して走る2筋の古道上をたどるのは不可能であったため、現存する石橋のみを踏査した。3連のスピアン・トップは現存する最大規模の橋といわれる(幅15m)。中央の橋は35スパン、その前後に位置する橋は11スパンであった。橋の付近には宿駅プラサート・プロムケルの遺構も確認できた。スピアン・トップでは橋脚幅が橋の起点側よりも中央部のほうが細くなるなど、構造的な特徴がみられた。この他、スピアン・スレンなどポルポト時代に破壊された事例も確認した。
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Research Products
(11 results)