2008 Fiscal Year Annual Research Report
ハイガシラゴウシュウマルハシにおける協同繁殖の多様な展開
Project/Area Number |
17255003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江口 和洋 Kyushu University, 理学研究院, 助教 (60136421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 恵介 立教大学, 理学部・生命理学科, 教授 (00213348)
西海 功 国立科学博物館, 動物科学部, 研究官 (90290866)
高木 昌興 大阪市立大学, 理学研究科, 講師 (70311917)
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Keywords | 協同繁殖 / ハイガシラゴウシュウマルハシ / ヘルパー / 血縁解析 / オーストラリア / 国際情報交換 |
Research Abstract |
【現地調査】 平成20年7月〜11月に,オーストラリア・ダーウィンにおいてハイガシラゴウシュウマルハシの協同繁殖に関する研究を行った.昨年度までの研究実績を継承し,対象種の社会構成、繁殖生態、行動生態に関するデータ、および性判定、遺伝解析のための血液標本の収集および採取を行った。採取した血液標本については,DNA性判定を北九州市自然史博物館の協力の基で行い、マイクロサテライトを用いた血縁解析を九州大学で行った。 本年度は確認できたグループ数は10グループ、このうち繁殖行動が確認されたのは8グループ,繁殖に成功したのは2グループと、昨年度よりさらに繁殖成績が低下した.10グループについて,群れ構成,個体数を確認し,うち8グループにおいてビデオ撮影により,繁殖・給餌活動のデータを収集した. 【性判定・血縁解析】 平成14年度から本年度までに採取した血液サンプルについて,マイクロサテライト分析を行い,グループメンバー間の血縁度解析と養育されたヒナの親子解析を行った。 【研究の成果】 これまでの研究により以下のことが明らかになった. 1)第一メス以外のグループ内のヘルパーメスが稀ならず繁殖することが確認された。 2)オスの2歳以上ヘルパー、および雌雄の1歳ヘルパーの給餌頻度はヒナとの血縁度と無関孫であったが,メスの2歳以上ヘルパーはヒナとの血縁が遠いほどよく給餌をした. 3)グループ間移動のデータから、オスは出生群に留まる方が、メスは移出した方が繁殖地位を獲得する傾向が高いことがわかった。 これらの結果から,オスは留まるために手伝い行動を行い,メスのヘルパーは、移出先で繁殖地位を獲得しやすいよう出生群でもオスより手伝う傾向が強いことを示唆している。
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Research Products
(4 results)