2005 Fiscal Year Annual Research Report
極東アジア地域カラマツ林における炭素および物質動態と環境変化影響に関する研究
Project/Area Number |
17255006
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 冬樹 北海道大学, 北方圏生物フィールド科学センター, 教授 (20187230)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹 賀一郎 北海道大学, 北方圏生物フィールド科学センター, 教授 (70125318)
小池 孝良 北海道大学, 北方圏生物フィールド科学センター, 教授 (10270919)
柴田 英昭 北海道大学, 北方圏生物フィールド科学センター, 助教授 (70281798)
吉田 俊也 北海道大学, 北方圏生物フィールド科学センター, 助手 (60312401)
高木 健太郎 北海道大学, 北方圏生物フィールド科学センター, 助手 (20322844)
|
Keywords | 国際研究者交流 / 中国・ロシア / 地球温暖化 / 永久凍土南限域 / カラマツ林 / 炭素フラックス / 森林動態 / 森林火災 |
Research Abstract |
中国東北地方とシベリア南部地域において、カラマツ林分を対象に炭素の貯留量把握や降水時の水分動態と炭素フロー等に関する観測を開始した。初年度の今年は、すでに観測を開始している中国・東北林業大学老山演習林の他に、大興安嶺山脈北部の加格達寄周辺およびロシアアムール州北部のブラガベシェンスク周辺のカラマツ天然林と山火事跡更新林分に調査地を新たに設置した。結果の概要を以下に示す 1、中国東北地方 (1)中国東北林業大学老山演習林におけるカラマツ林の降水時における水分フローは、降水量を100%として、林内雨が66.1%・樹幹流が0.2%となり、樹幹遮断量が33.7%と算定される。密な林分であることから、林内雨や樹幹流の割合が比較的に低くなり、遮断蒸発量割合が高い値になると判断された。 (2)土壌中の炭素のフローは、降雨期の中心である8月で、林内雨5.85gC・m^<-2>、O層kらA層に0.98gC・m^<-2>、A層からB層には0.34gC・m^<-2>の移動量が観測された。土壌中の炭素貯留量は、O層に920g・m^<-3>、A層7130g・m^<-3>、B層2290g・m^<-3>、C層590g・m^<-3>であった。これらの炭素貯留量と土壌中の炭素移動の状況から、土壌中炭素の多くは林内雨やO層から供給され、A層とB層を中心に貯蓄されていく過程が把握される。このことは、C層の炭素貯蓄量が極端に少ないことからも明らかである。 2、シベリア南部地域 山火事後5年が経過した林分(Y)ではシラカンバが最も優占していたが、その他にもヤマナラシ、ハンノキ、モンゴリナラなどいくつかの樹種が更新していた。しかし15年(I)および35年(M)経過した林分ではシラカンバが90%以上、グイマツが10%以下の割合で存在するのみであった。地上部現存量は、Yでは1.5t・ha^<-1>、Iでは71.8t・ha^<-1>、Mでは76.8t・ha^<-1>と、シラカンバの先駆性が反映され比較的短い期間で著しく増加していた。
|
Research Products
(12 results)