2007 Fiscal Year Annual Research Report
極東アジア地域カラマツ林における炭素および物質動態と環境変化影響に関する研究
Project/Area Number |
17255006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 冬樹 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (20187230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹 賀一郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70125318)
小池 孝良 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10270919)
柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (70281798)
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (60312401)
高木 健太郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (20322844)
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Keywords | 永久凍土南限域 / 地球温暖化 / カラマツ林 / 森林火災 / 炭素フラックス / 中国:ロシア / 国際研究者交流 / 森林動態 |
Research Abstract |
中国東北地方とシベリア南部地域において、カラマツ林分を対象に林分構造・炭素の貯留量把握・降水時の水分動態と炭素フロー等に関する観測を継続した。 最終年度にあたる今年度は、中国・大興安嶺北部の加格達寄周辺に設定した定点観測地の流量および微気象に関する連続データの回収をおこない、10月下旬〜5月上旬には流域土壌が凍結することを明らかにした。また、付近の広大な湿原において土壌調査をおこない、湿原下には普遍的に永久凍土層が分布していることを確認した。 一方、ロシア・アムール州のカラマツ地帯では、州北部の連続的永久凍土地帯の巨大人造湖であるゼーヤ湖付近の森林特別保護地区において、未攪乱のカラマツ林分と山火事跡地更新林分の調査をおこない、山火事の影響により永久凍土層が消失し、カラマツ林からミズナラ林への遷移が数年から十数年の間に起こることを確認した。また、昨年度調査した山火事跡地の針広混交林の調査を継続し、カラマツ林と環境条件(主に土壌条件)との関連性について調査した。 これまでの調査を通じ、永久凍土南限地域においてカラマツ林の分布は永久凍土層の存在と密接に関連し、しかもその永久凍土層は森林や湿原の存在によりかろうじて保存されていることがわかった。したがって、地球温暖化あるいは大規模な山火事により森林被覆がなくなると、永久凍土は容易に崩壊して森林はより温暖域のものに遷移し、凍土上にあるいは凍土内に蓄積された有機態炭素は温暖気下で容易にC02に分解され、メタンとともに大気中に放出されるシナリオが明らかとなった。
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Research Products
(24 results)