Research Abstract |
多数の計算機が埋め込まれ連動する環境(近い将来に期待されるユビキタス環境)の中で,ユーザが日常生活での活動やオフィスワークなどを行う際に,外的な記憶空間を逐次構築しながら利用するためのインタフェースのプロトタイプシステムを開発した.外的な記憶空間とは,従来の計算機(PC)ではなく,生活空間の活動の中で頻繁に使用されるもの(デスク,キャビネット,トレー,卓上照明器具,バッグ,手帳,カード,カレンダーなど)を記憶掛けくぎ(peg)として,活動空間内にユーザの主観において配置される記憶からなる空間である.RFIDタグやリーダ,カメラなどのセンサ類と処理通信機能をこれらの記憶掛けくぎに組み込んで,(その一部に)画像や音声の取り込みと提示を可能とすると同時に,ユーザ自身の記憶を支援するための3つの記銘方略に対応したインタラクションの仕組みを提供した.印刷物などのモノとユーザ自身の行動歴・予定についての記憶をこの記憶掛けくぎで外的に補助する実空間配置型あるいは記憶空間構築用インタフェースである.記憶の掛けくぎ(peg)(ここでは,想起の手がかり)となるインタフェースデバイスとして,3つのグループ((1)ウェアラブル系,(2)ノマド系,(3)ステーション系)から構成を設計製作し,有効な記銘方略を実験的に検討した. その結果として,記銘の対象を結びつける記憶掛けくぎとしての実世界の多様なオブジェクトをデータベースとして,多様な方法論で保存・アクセスするシステムが構築された.3種類のデバイス系を基礎として,ユーザが記憶掛けくぎを外的に投射するためのインタフェースが構築された.その1つの手法として,映像をユーザが重畳する形式の記憶掛けくぎ構成法を提案し,被験者による記銘実験を行った結果,顕著な記銘・再生効率が得られることが示された.
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