2005 Fiscal Year Annual Research Report
自由エネルギー解析法の開発と糖鎖構造計算ライブラリーの構築
Project/Area Number |
17300093
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
上田 一義 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40223458)
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Keywords | 糖鎖構造 / 分子シミュレーション / 自由エネルギー |
Research Abstract |
本研究は、溶液中における糖鎖の立体構造解析を分子動力学コンピューター・シミュレーション法により行うものである。その新しい方法としてアンブレラサンプリングの方法を適用した自由エネルギー解析法を開発することを目的とした。この方法は、これまで糖鎖の立体構造解析がほとんど真空中で行われていたのに対し、溶媒分子との相互作用を考慮に入れた溶液中における糖鎖の立体構造を解析する方法を提供するものである。この方法と通常の分子動力学シミュレーションを組み合わせてグリコプロテインなどの立体構造解析を行い、今後のバイオ研究において益々重要になると思われる糖鎖の構造と機能、さらには構造予測の研究を進めたい。 初年度の研究実績は以下の通りである。まず、自由エネルギーの計算方法に関しては基本的なプログラムは完成し、このプログラムの適用評価とプログラムの改良を行うために、グラム陰性桿菌の作り出す鞘多糖の繰り返し単位である五糖の立体構造予測を行った。計算で求まった安定構造と、共同研究している実験グループのNMR-NOESYデータを合わせて検討することで、実際のコンフォメーションを検討した。その結果、五糖の構造は全体として延伸したらせん構造を形成することが推定された。この分子に関する自由エネルギー図は現在計算中である。この計算のためには多大な計算時間とマンパワーを要するため、申請書では研究支援者とクラスター型コンピューターの導入を計画していたが、計画どおり本申請の経費で研究支援者の雇用とコンピューターの導入の両方を行うことが出来た。また、研究協力者であるCornell大学のProf.Bradyの研究室に本経費で短期出張し議論を進めることが出来た。次年度は、さらに効率的な共同作業によりプログラム完成と糖鎖への適用評価を進めていく。
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Research Products
(3 results)