2005 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエを用いた睡眠覚醒制御機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
17300105
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
粂 和彦 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (30251218)
|
Keywords | ショウジョウバエ / 時間生物学 / 睡眠 / 不眠 / ドーパミン / 寿命 / 生物時計 / 概日周期 |
Research Abstract |
睡眠の量が減少したショウジョウバエの変異株、fumin(不眠、fmn)は、遺伝学的マッピングと、cDNA・ゲノムの配列決定により、ドーパミン・トランスポーター遺伝子の機能欠失変異であることが示されている。このfmn変異株の断眠に対する反応、覚醒域値、さまざまな条件下での寿命を解析して、本年度、発表した。(K.Kume et al. J.Neurosci. 25:7377-7384,2005)特に、他のグループから従来発表されていた結果からは、ショウジョウバエの睡眠は、哺乳類同様、生存に必須であることが示唆されていたが、われわれの結果では、fmn変異が寿命に全く影響がないことを示し、新しい知見となった。また、ドーパミンは、ショウジョウバエが不動状態にある時の反応性そのものに関係していることを薬理学的な実験などで、現在、確認中である。 また、ショウジョウバエの概日周期の中枢は、脳の中の限られた数のニューロンであることが知られており、その多くがPDF(Pigment dispersing factor)というペプチドを産生するPDFニューロンである。ショウジョウバエの睡眠覚醒と概日周期の関係を調べるため、このPDFニューロンと、ドーパミンニューロンのそれぞれが蛍光蛋白質(GFP)でラベルされるショウジョウバエの系統を作成し、その脳を単離し、in vitroで培養する系を樹立した。 従来、単離した神経細胞は、従来不安定とされていたが、培養液を改良することにより、1週間以上の長期にわたって安定して培養できる条件が確立できた。この系では、単離した神経細胞が、神経突起を伸長できることまで確認できた。現在、電気生理学的・分子生物学的性質を、解析中である。
|
Research Products
(2 results)