2006 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエを用いた睡眠覚醒制御機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
17300105
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
粂 和彦 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (30251218)
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Keywords | ショウジョウバエ / 時間生物学 / 睡眠 / 不眠 / ドーパミン / 寿命 / 生物時計 / 概日周期 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、ショウジョウバエを用いて、睡眠覚醒制御機構の解析を行った。今年度は、1.睡眠の量が減少したショウジョウバエの変異株、fumin(不眠、fmn)の脳における遺伝子発現を網羅的にジーンチップを用いて調べた。戻し交配を充分行った野生株と比較したところ、発現量に変化のある遺伝子は少なく、2倍以上の差がつくものは20個程度だった。この中には、キノコ体に発現して学習に関与するものがあり、fmn変異が不眠だけではなく、学習に障害がある原因の可能性が示された。また、時計遺伝子そのものの発現の位相は野生型とは変わらないにも関わらず、一部の遺伝子群の発現変動が、野生型と位相が異なっており、これらの遺伝子群は、概日周期による直接制御ではなく、睡眠覚醒を介して制御される可能性が示された。2.カフェインなどの薬理作用を調べる過程で、ショウジョウバエにも活動は休止しているが覚醒している状態が、従来考えられているより長く存在する場合があることが明らかになり、その状態をビデオ観察により調べる実験系を樹立した。この系を用いて、カフェインの作用を調べると、活動量そのものには影響を与えないが、睡眠の量を減らすことが示された。3.生きたショウジョウバエ個体の脳から、無麻酔状態で電場電位を計測する系の確立に成功した。(現在までのところ、この実験系は世界の中でもアメリカの一グループしか確立していない)この系を使って、fmn変異株と野生型の間で、電気生理学的な脳活動の差を観察している。
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Research Products
(6 results)