2007 Fiscal Year Annual Research Report
大脳新皮質層形成と層特異的神経回路網形成のメカニズム
Project/Area Number |
17300111
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺島 俊雄 Kobe University, 大学院・医学系研究科, 教授 (20101892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 知志 神戸大学, 大学院・医学糸研究科, 助教 (90244681)
勝山 裕 神戸大学, 大学院・医学糸研究科, 助教 (10359862)
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Keywords | リーラー / リーリン / 大脳皮質 / 層形成 |
Research Abstract |
成体リーラーにおける細胞構築異常について調べるため、P10のリーラーおよび正常マウスの矢状断切片を作成し層特異的分子マーカーを用いてその大脳皮質における遺伝子癸現を調べた。正常大脳新皮質ではmSorLAが2/3層により強い遺伝子発現の勾配を示した。RORbの発現は4層に極めて強く5層にも若干のRORb発現細胞を認めた。Er81は5層に選択的に発現するが、5層の全ての細胞において発現が認められるわけではない。Tbr1の主な発現は6層である。またTbr1を弱く発現する細胞が3層と5層の下方において見られた。これらの遺伝子のリーラー脳における発現を調べ、正常脳のそれと比較した。RORbとEr81の皮質接線方向の発現は不均一であり、これは大脳皮質の機能領域と対応していると考えられる。RORb、Er81の遺伝子発現の前後軸、内外側軸に沿った勾配パターンはリーラー脳においても保存されていた。そのほか、海馬、上丘、小脳皮質におけるこれら遺伝子の発現については、各領域における細胞構築異常に対応して遺伝子発現パターンが乱れていた。嗅球における遺伝子発現は正常マウスとリーラーで差を認めなかったが、これは形態学的にもリーラー嗅球では異常がほとんど見られないことと一致する。以上、今回用いた層特異的遺伝子マーカーの発現パターンでは、リーラー大脳皮質において従来言われていたように層構造の逆転ではなく、層形成そのものが発生初期から高度に乱れている可能性が示唆された。
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Research Products
(12 results)