2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路網形成過程における細胞内シグナル伝達機構の解析
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17300117
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
柳 茂 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (60252003)
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Keywords | 脳神経 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
セマフォリンの細胞内シグナル伝達に関与する分子としてCRMPの機能が注目されている。私たちはCRMPに結合する新規シグナル分子としてCRAMを発見し(J.Biol.Chem.2000 ; Inatome et al.)、続いてCRAMに結合するチロシンキナーゼFes/Fpsを同定し、Fes/Fpsがセマフォリンを介するシグナル伝達に関与することおよび微小管動態を調節していること(EMBO J.2002 ; Mitsui et al, J.Biol.Chem.2003 ; Takahashi et al.)および、CRAMがセマフォリン応答を負に制御することを報告した(Mol.Biol.Cell in press ; Hotta et al.)。今回、CRAMの結合分子として新規のGTPase,CRAGを同定し、機能解析を行った(J.Cell Biol.2006 ; Qin et al.)。CRAGはCRAMと同様に神経突起の糸状仮足に集積する。また、RNAiを用いてCRAGを減少させると糸状仮足が消失することより、CRAGもCRAMと同様に糸状仮足の形成に不可欠であると考えられる。一方、CRAGはそのC末端に典型的な核移行配列を有する。興味深いことに神経細胞をセマフォリン3Aで刺激するとCRAGは速やかに核移行し、核内においてユニークな封入体を形成した。活性酸素種(ROS)消去剤を添加しておくと、この核移行現象が認められなくなることより、ROSがセカンドメッセンジャーとしてCRAGの活性化と核移行を促進しているものと推測された。このことより、セマフォリンはROSをシグナル伝達に用いてCRAGを活性化し核内に情報を伝達していることが強く示唆された。今後、CRAGがROSによってどのように活性化するのか、その活性化機構についての解析が待たれる。
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Research Products
(1 results)