2006 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症の新規疾患モデル動物の作出及び疾患発症分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
17300121
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
秦野 伸二 東海大学, 医学部, 助教授 (60281375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大須賀 等 東海大学, 総合医学研究所, 助教授 (60203775)
尾上 久一郎 東海大学, 総合医学研究所, 講師 (50276812)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / AIS2遺伝子 / 運動ニューロン / モデル動物 / 神経変性疾患 / エンドゾーム / ALS2タンパク質 / グアニンヌクレオチド交換因子 |
Research Abstract |
本研究では、家族性筋萎縮性側索硬化症2型の原因遺伝子"ALS2"に焦点を当て、ALS2遺伝子変異を有する新たな運動ニューロン疾患モデル動物を作出すると同時に、その分子病態解析ならびにALS2遺伝子産物の神経細胞における分子機能研究を通じて、運動ニューロン疾患発症のメカニズムを解明することを目指す。平成18年度は、以下のような成果が得られた。 1)新規ALS/MNDモデル動物の作出および解析 本年度は、Als2ノックアウト(null)マウスにおける遺伝的背景の不均一性に起因した解析結果のばらつきを無くすことを目指して、Als2-nullマウスのコンジェニック化(B6ならびにFVB)を完了した。これらコンジェニック系Als2-nullマウスとALS2遺伝子(正常型ヒトALS2遣伝子ならびにALS2スプライシングバリアント)導入マウスとの交配を行い、Als2-null/ALS2-tgマウスを作出した。現在当該マウスの行動・生理学的解析を実施・継続している。また、本年度はRab5GEF活性触媒部位を欠失した変異型ALS2遺伝子発現マウスを新たに作出した。 2)ALS2タンパク質の分子機能解析 本項目では、ALS2タンパク質のN末端側に存在するRCC1-like domain(RLD)の分子機能およびALS2遺伝子スプライシングバリアントの遺伝子産物の分子機能を明らかにすることを目指す。本年度は、ALS2_RLDがALS2分子のC末端(MORN/VPS9)領域と特異的に結合することを明らかにした。そして、ALS2タンパク質の分子内結合は、細胞内におけるALS2分子の挙動ならびに活性化の調節制御機構の一つであることが明らかとなった。一方、Als2-nullマウスおよびALS2-tgマウス由来の初代培養神経細胞を用いて、神経細胞の生着、移動、軸索伸長、成長円錐・シナプス構造、細胞内膜小胞動態等の観察を行った結果、ALS2タンパク質は未成熟期神経細胞においては成長円錐におけるアクチン陽性膜小胞に分布し、成熟期では軸索および樹状突起内のエンドゾーム様膜小胞に分布することが判明した。また、Als2-null神経細胞を用いた解析によりALS2タンパク質は軸索伸長を調節する因子であることが判明した。
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Research Products
(4 results)