2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳の発達、維持、病態におけるスフィンゴ糖脂質の機能解析
Project/Area Number |
17300122
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 邦彦 東海大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (30384895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 純子 東海大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教授 (60363149)
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / スフィンゴリピドーシス / モデルマウス / 脳病態 |
Research Abstract |
我々は,スフィンゴ糖脂質の神経系における機能に興味を持ち、その遺伝性代謝障害であるスフィンゴリピドーシスの疾患モデルマウスを用いて研究を進めている。本研究課題では、スフィンゴ脂質活性化たんぱく質のひとつであるサポシンDの特異的ノックアウトマウスの神経病変の解析に取り組んでいる。本年度はスフィンゴ脂質活性化たんぱく質(サポシンA、B、C、D)の前駆体たんぱく質であるプロサポシンを特異的に認識する抗体の作成に成功した。サポシンA、B、C、Dはそれぞれが特異的なスフィンゴ脂質のライソゾームにおける加水分解に必須である。一方、プロサポシンは、前駆体たんぱく質である以外にもそれ自体に神経栄養因子としての機能が推定されているが、直接的な証明はまだない。プロサポシン特異抗体を用いたウエスタンブロット解析では、マウスの全脳においてプロサポシンの分子量に一致する65kDa付近のバンドのみが同定され、サポシンの分子量である15kDa付近にはバンドを認めず、このバンドは吸収抗体において消失し、プロサポシンノックアウトマウスでは同定されなかった。以上の結果から、プロサポシン特異抗体が得られたと結論した。さらに、各種スフィンゴリピドーシスモデルマウス(サポシンDノックアウトマウス、サポシンAノックアウトマウス、Twitcherマウス)の全脳におけるプロサポシンの発現を検討したところサポシンDノックアウトマウス脳において野生型の約5倍と有意な増加が認められた。この発現増加は胎児期から認められ、サポシンD欠損による一次的な変化と考えられた。この抗体を用いた脳の免疫組織化学的検討では、大脳皮質、脳海馬体等の神経細胞において強い免疫染色性が得られ、特に脳海馬体のCA3領域において著明であった。これらの結果はプロサポシンの神経細胞における機能とサポシンD領域のその発現調節機能を推定させ興味深い。
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Research Products
(4 results)