2005 Fiscal Year Annual Research Report
脱毛疾患を引き起すケラチン遺伝子挿入変異の配列長変化に関する研究
Project/Area Number |
17300137
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉木 淳 独立行政法人理化学研究所, 実験動物開発室, 室長(副主任研究員待遇) (40212310)
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Keywords | マウス / ミュータント / 脱毛疾患 / 優性遺伝 / 挿入突然変異 / ケラチン遺伝子 / 毛包 / 劣性遺伝 |
Research Abstract |
Hagマウスは毛包に特異的に発現するkeratin2-6gに挿入配列が入ることによって起こった突然変異で遺伝様式は半優性である。ヘテロ型でウェーブ毛となりホモ型では全身脱毛を引き起こす。この半優性対立遺伝子の維持過程で劣性形質のマウス(hag/hag)が得られた。このマウスでは挿入配列が短縮し、ヘテロ型で正常毛、ホモ型で全身脱毛を示すが、挿入配列長の変化する機構は未だ不明である。本年度はHagueマウスの交配試験により変異の原因である挿入配列長の変化を親子で調べ、配列長の変化と遺伝様式ならびに表現形質の関係を明らかにすることを目的とした。C3H/HeN-Hagのホモ型維持系統とヘテロ型維持系統を用いた。正常野生型対照としてC3H/HeN系統を使用した。HagxHag,C3HxHag/Hag,C3HxHag/+の交配より仔マウスを作製し、親仔の毛の表現型と遺伝子型を調べた。遺伝子型の解析はkeratin2-6gの第1エクソンの挿入配列を挟むかたちでPCRを行い、親仔における挿入配列長の変化を調べた。Hag alleleからは約510bpの断片が、劣性hag alleleからは約420bpの断片、野生型正常マウスからは約75bpの断片が増幅された。HagxHag, C3HxHag/HagおよびC3HxHag/+のいずれの交配からも次世代に劣性hag alleleと同様のサイズのalleleが生成された。また、中間的なallele(hlサイズ約480bpの断片)を有する仔マウスも検出された。短縮型のalleleをヘテロで持つ個体はいずれも正常毛を有し、劣性に変化したことが示された。さらに、ウェーブ個体(H/+)でH,hlおよびhの3本のバンドを示す個体が見つかり、体細胞レベルで挿入配列の短縮が起こる可能性が示唆された。次年度はalleleの塩基配列の決定と発現解析に進みたい。
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Research Products
(5 results)