2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体軟組織に対応する分子接着の機構解明とマテリアル創製
Project/Area Number |
17300144
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 一彦 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90193341)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 泰彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (90280990)
金野 智浩 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (80371706)
|
Keywords | 接着 / バイオマテリアル / 医療接着材 / 高分子複合体 / 分子間相互作用 / 外科治療 |
Research Abstract |
本研究では、安全で効果的に利用できる革新的医療接着材の開発を目指して、生体軟組織に対して接着できる新規ポリマーバイオマテリアルの創製を最終目的としている。研究期間中に(a)細胞とポリマーマテリアルとの接着機能の解明を、物理化学的及び生物学的な両面から、分子のレベルで行い、(b)これを基に常温、常圧のもと、ポリマー分子の相転移と自発的組織化により簡単に固化し、接着を実現するポリマー構造の規定を行う。(c)このポリマーを、分子構造を厳密に規定して合成し、接着性能と安全性の検討より、プロトタイプの軟組織接着材を創製する。本年度は、軟組織に対して接着性を考慮して、リン脂質極性基を有する2-methacryroyloxyethyl phosphorylcholine(MPC)ユニットを導入したポリマーに荷電を導入した。MPCを主成分として様々な分子構造有する両親媒性電解質ポリマーを合成し、polyion complex(PIC)ハイドロゲルを創製した。このPICハイドロゲルは、組織表面に存在するタンパク質と静電相互作用により組織接着性を示すと考えた。また、疎水性モノマー、n-butyl methacrylate(BMA)を導入し静電相互作用の向上を期待した。この両親媒性MPCポリマーの溶存状態および細胞毒性は化学構造に依存し、BMAユニットやポリマー構造を反映した性質を示していた。高い毒性が報告されているglutaraldehydeとくらべて、MPCポリマーの細胞毒性は低かった。グラフトポリマーから生成したPICハイドロゲルは接着性を示さなかった。一方、ランダムポリマーから生成したPICハイドロゲルは接着性を示していたが、ゲル化と接着性に寄与する電離性ユニットのバランスの制御および含水率の制御が接着性の発現には不可欠であることが明らかとなった。これを基盤としてさらに分子設計を行ない、次年度、目標を達成する。
|
Research Products
(2 results)