2006 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌス毒素蛋白複合体を改変した蛋白ペプチドの革新的薬物送達システムの構築
Project/Area Number |
17300161
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
大山 徹 東京農業大学, 生物産業学部 (60318178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 俊弘 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (80175695)
丹羽 光一 東京農業大学, 生物産業学部, 助教授 (20301012)
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Keywords | ボツリヌス毒素 / タンパク質間相互作用 / 薬物送達システム / X線結晶解析 / 電子顕微鏡解析 |
Research Abstract |
ボツリヌス毒素は、1分子の神経毒素(約150kDa)に非毒非血球凝集素成分(NTNHA)と3種の血球凝集素成分(HA)サブコンポネントの合計5種のタンパク質が非共有結合的に会合し、650kDaのサブユニット構造の複合体として培養液中に産生される。サブユニット構造は、毒素が消化管での酸性条件や種々の蛋白分解酵素に曝されるという過酷な条件下でも強い耐性を示し、神経毒素を腸管から標的細胞に送達するという特異的な構造を有している。本研究の最終目標は、神経毒素が除かれた無毒成分複合体を運搬役として新たな医療用蛋白ペプチドなどを経口的に送達するシステムの構築である。 これまでの研究成果として、D型ボツリヌス毒素複合体(650kDa)が、神経毒素およびNTNHAが各1分子、HA-70が2分子、HA-33およびHA-17が各4分子からなる12量体サブユニット構造であり、再構成複合体および単体分子に対するトリプシン感受性実験により、毒素複合体における全構成成分の立体配置を提案した(Microbiology,2005)。今回、培養液中における分子量の異なる複合体種が存在することを、各構成成分のmRNA発現の定量的検出、遺伝子産物の定量により説明した(J Microbiol Method,2006)。また、培養細胞を用いて毒素複合体の取り込みと輸送経路についても報告した(Biochim Biophys Acta,2006)。さらに、電子顕微鏡観察により、毒素複合体が楕円体に3本の"腕"状の突起を有する特異的形態を初めて捉えた(蛋・核・酵、2006)。今年度に構成成分の一部であるHA-33/HA-17複合体の結晶化に成功したことから、次年度に向けてX線解析などにより、毒素複合体の各構成成分の高次構造を明らかにし、薬物送達システム構築のための基礎とする。
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Research Products
(3 results)