2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ気泡と超音波を利用した高効率型分子導入法の開発とがん遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
17300168
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小玉 哲也 東北大学, 先進医工学研究機構, 助教授 (40271986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 栄夫 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20302218)
藤川 重雄 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (70111937)
冨田 幸雄 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00006199)
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Keywords | マイクロ気泡 / 遺伝子治療 / がん / 超音波 / 分子導入 |
Research Abstract |
超音波とマイクロ気泡を使った分子導入法は、非侵襲的に標的組織に遺伝子などの高分子を導入することが可能である。本研究は、マイクロ気泡の崩壊で発生するキャビテーション気泡の運動と超音波特性との関係を明らかにして、「分子導入効率の高い超音波システム」を開発し、「がん遺伝子治療法」への応用を目的とする。 本年度は、導入効率を高めるために超音波プローブの開発をおこない、分子導入効率を4倍高めることに成功した。 このプローブとナノ・マイクロ気泡を併用して、単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子[herpes simplex virus-thymidine kinase (HSVtk) gene]とガンシクロビル(GCV)を用いた「自殺遺伝子治療」の検討をおこなった。in vitro実験ではGCVの濃度依存的な抗腫瘍効果を明らかにした。in vivo実験では浸潤性の低いがんおよび高いがんとを治療対象にし、両腫瘍に対して効果的な抗腫瘍効果を観察した。また、抗腫瘍効果にはアポトーシスが介在することが示された。これらの抗腫瘍効果は抗がん剤を使用した場合にも観察され、本手法の有効性が示された。 疼痛緩和に対する本手法の有効性を検証するためにマウス脊髄にレポーター遺伝子を導入し、効果的な遺伝子発現を観察した。 分子導入機序を明らかにするために、分子動力学シミュレーションで衝撃波の作用にともなう細胞膜の構造変化を調べた。細胞膜構造は水分子に挟まれた脂質二重膜としてモデル化した。衝撃波作用後、脂質膜構造は大規模に変形し水分子が脂質膜内に導入されることが明らかにされた。この事実は、衝撃圧の干渉にともなう脂質膜の構造変化が細胞膜の透過性変化に関与していることを示している。
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Research Products
(36 results)