2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管新生制御による超低侵襲型次世代粒子線癌治療技術の研究
Project/Area Number |
17300169
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺川 貴樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10250854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 護 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (20005466)
伊藤 正敏 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00125501)
岡村 弘之 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (10221144)
伊藤 伸彦 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (00159899)
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Keywords | 粒子線治療 / 血管新生阻害 / 深部線量分布 |
Research Abstract |
本研究では、腫瘍血管新生阻害効果と粒子線照射の優れた線量分布の特徴を最大限に活用する新しい低線量・低副作用の粒子線治療技術の開発を目的としている。全体の研究計画は、初年度(平成17年度)に粒子線治療装置の開発、平成18年度から平成19年度(最終年度)にかけて、本研究で目指す粒子線治療の動物実験の実施となっている。 平成17年度では、この新しい粒子線治療の研究をラット等の小動物を用いて行うための粒子線治療実験用照射システムの開発を行った。照射システムは、粒子線を水平・垂直偏向できる水平・垂直用ワブラー電磁石及び電源、がん形状に一致した深部線量分布を形成するためのリッジフィルター、線量計測システム、及び、全体システム制御系から成る。開発した照射システムは、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターに設置された。 さらに、照射システムと80MeV陽子線を用いて治療用ビーム形成の基礎実験を実施した。本研究では従来の粒子線治療法と新しい治療法の効果を比較検証する必要があるので、ビーム形成の基礎実験では、先ず、従来の粒子線照射を想定したビーム形成を行った。加速器からのペンシルビームを癌全体に一様に照射するために、ワブラー電磁石により最大直径約10cmの一様照射野を得た。また、癌の深さ方向も一様に高線量で照射できるように、リッジフィルターによって最大約4cm幅までの各種拡大ブラックピークの形成にも成功した。一様照射の強度平坦度と拡大ブラックピークの深部線量分布の平坦度は、ともに±2.5〜4%の範囲であり粒子線治療研究を実施するために必要な精度が確保できている。 従って、現在、今後計画している粒子線治療の動物実験が可能な状況に達しており、本研究で提唱する血管新生阻害薬と粒子線治療の利点を融合した低線量・低副作用の治療研究を実施していく予定である。
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